3年ぶりの中東和平交渉 最初の難題とは?

 米国務省は28日、イスラエルとパレスチナの代表が29日から、2010年以来中止されていた和平交渉を再開すると発表した。まずは、今後の交渉の開催場所、期日、交渉形式などの段取りを話し合う予定だという。

 交渉再開の合意に先立ち、イスラエルは再開の条件のひとつであった、パレスチナ人囚人の釈放を閣議決定した。

 海外各紙は、これから交渉を進めていく過程には、囚人釈放の実施を含め、数々の難題が待ち構えていると報じている。

【反対意見が根強い囚人釈放】
 イスラエルは28日、パレスチナ囚人の釈放について、内閣で長時間審議し採決を行った。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ネタニヤフ首相は、交渉再開はイスラエルの利益のために必須の過程で、そのためには囚人釈放が最も痛みの少ない妥協案だと必死の説得をしたようだ。

 採決では、13人の閣僚が賛成、7人が反対、2人が棄権であった。反対票の中には、ネタニヤフ氏が率いる保守派リクード党の2名も含まれていた。自身が率いる政党の閣僚から強い反対を受けたことは、交渉が本格的に始まれば大きな障害があることを浮き彫りにした、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 ネタニヤフ首相は、「決定は、私にとって容易なものではなかった。各閣僚にとっても非常に苦しいものだった。そして、パレスチナのテロにより家族を失った遺族にとって、受け入れがたい苦しみだと私は理解している。」「しかしそれでも、国のために厳しい決定をくださなければならない時がある、それが今なのだ。」と述べた。

 なお、同日の閣議決定では、パレスチナとのさらなる和平交渉を進めるには、国民投票を実施し、閣内で採決により認証されなければならないとする法案も決定された。

【パレスチナ人によるイスラエル領土所有】
 パレスチナ側は、ケリー氏に対し、オスロ合意が発効された1994年以前に囚人となった104名のパレスチナ人の釈放について提案していた。

 これら囚人の釈放は、両国が感情的になる問題だった、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。多くのイスラエル人にとって、彼らは、多数のイスラエル国民を殺害した凶暴なテロリストだ。

 さらに、104名の中に含まれる14人のイスラエル在住のパレスチナ人釈放を認めることは、イスラエルが、パレスチナ人によるイスラエル領土所有を暗黙に認めることを意味するという。

 一方、パレスチナ人にとり囚人たちは、指導部の命令に従いイスラエルと戦った人々だ。前回の和平交渉で、彼らが自由になることは当然だと考えていたが、釈放が実施されなかったことは、指導部の失敗だったとみているという。

 観測筋は今回、アッバス議長が囚人釈放の合意を得たことは、同国内で交渉再開に関する指導部への支持を拡大するのではと推測している。

 パレスチナの捕虜問題担当大臣は、「(囚人釈放は)まさに地域の平和のための期待を押し上げる重要な成果だ。」と歓迎しする姿勢だ。

Text by NewSphere 編集部