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不穏なエジプト情勢 世界各国が懸念する理由とは

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不穏なエジプト情勢 世界各国が懸念する理由とは

 エジプトでは、事実上のクーデターによって、「同国初の民主的な投票によって選ばれた大統領」であるモルシ氏が追放された。しかし、クーデターを誘引した大規模デモの引き金である「経済悪化と生活不安」を早急に解決しない限り、「民衆の不満」という時限爆弾の導火線が燃え続けるのは必至だ。
 政権を掌握した国防相のシシ氏は、早々の「正常化」に向けての動きを加速させ、ビブラウイ首相を任命したうえに、「正常化までのロードマップ」を具体的に示した「憲法宣言」を発表した。その主な内容は、以下の通りだ。

・2ヶ月以内の新憲法草案を作成。
・その新憲法に沿った改革
・2014年2月の国会議員選挙の実施
・国会形成後の大統領選挙の実施。

 こうした国内の動きに呼応して、海外からも、同国の「正常化」を支援する動きが加速しているという。

【海外の思惑】
〈書き換えられる中東における政治勢力地図〉
 海外各紙は、エジプトの中央銀行総裁からの要請を受けて、アラブ首長国連邦が20億ドルの無利子の貸し付けを含む総額30億ドル、サウジアラビアが10億ドルの現金供与を含む総額50億ドルという、巨額の財政支援を表明したことを伝えている。こうした動きは、今回の「クーデター」が、エジプト国内のみならず、中東全域における政治勢力を改変するものであったことを浮き彫りにしている。
 両国や隣国カタールは、モルシ氏の支持母体であるムスリム同胞団を厚く支援してきたが、モルシ政権とは距離を置いてきた。
 つまり、両国が早々に巨額の支援を表明した背景には、「非イスラム」政権の樹立が国際的に歓迎されているというメッセージを送る意味があったと見られている。
 一方、クーデター直前に「10億ドルの国債購入」によってモルシ政権を支援していたカタールは、「エジプト国民の意思を尊重する」とのコメントを表明しているのみだ。

〈アメリカの苦渋〉
 アメリカは、今回の事態を「クーデター」と定義することを慎重に避けながら、「正常化への動き」を見守る姿勢を打ち出している。
 これは、「軍事クーデター政権」に援助することを禁じる自国の法律と、10億ドル以上の軍事援助を拠出してきたことが物語る同国の重要性、そこへの影響力を低下させるわけにはいかないアメリカのお国事情の兼ね合いによるもので、「エジプト国民が望んだ結果だから」という苦しい正当化が行われているようだ。
 オバマ大統領も、アラブ首長国連邦やカタールなどと相次いで電話会談を行い、今後の対応を協議しているという。

〈破たんさせるわけにはいかない? エジプト経済〉
 ただし、各国の対応は、それぞれの「国益」もさることながら、中東における「鍵」であるエジプトの重要性を示しているとも、フィナンシャル・タイムズ紙は分析している。
 相次ぐ政治的混乱によって、現在、エジプトの外貨準備高は、ベンチマークとされる輸出額3ヶ月を下回っていると伝えられ、「破たんさせるわけにはいかない」という切迫感が各国にはあるという。

【揺らぐエジプト国内】
 しかし、こうした各国の思惑をよそに、エジプト国内の動乱は収まる気配を見せないという。
 正常化に向けての「ロードマップ」は、考案から採択まで軍が主導しており、専門家からは、「用意された期間が短すぎる」との懸念が示されている。既に各方面から非難が集中しているという。
 ムスリム同胞団系の政党「自由公正党」のエリアン副党首は9日、モルシ政権下で採択された憲法の「民主性」を強調。その上で、マンスール暫定大統領が発表した「憲法宣言」は、クーデターの首謀者によるもの同然であり、「(民主革命を)振り出しに戻すものだ」と非難、拒否する構えを明確にしたという。
 このほか、モルシ政権の崩壊を歓迎するNFSや、反政権デモを主導したタマルドなども、事前に協議もなく、もっぱら「独断」で決定された宣言に反発し、修正案を大統領に提出するとしている。

 今回の憲法宣言は、マンスール暫定大統領に対し、「政府・軍との合議の上であれば、いかなる法律も作ることができる」という強大な法的イニシアティブを付与すると識者はみている。さらに、これは「明確なクーデター」であり、軍がムスリム同胞団の幹部を逮捕したり、モルシ大統領の復権を求めるデモ隊に発砲したことなどと合わせて、同国の混乱が続くことに警鐘を鳴らしている。
 加えて、憲法草案を作成する憲法委員会、それを審理する10名の専門家と50名の「国民代表」の選出の方法などの一切が不透明であることから、モルシ大統領が強行し国民の反発を買った「過ち」の再現となる危険性も指摘している。

 経済の専門家ビブラウイ氏を首相に迎え、経済危機を乗り切ろうとする同国。しかし、政情不安によって、折から求めていたIMFからの支援も棚上げされる形になった。さらに、頼みの綱のサウジアラビアやアラブ首長国連邦の援助についても、「約束は早いが、履行は遅い」中東の約束の例から、不透明感を指摘する声も上がっているという。

 諸外国も、国内各派も一様に掲げる「挙国一致」の理想を真実とし、経済危機を乗り越え、中東の雄の座を守る—-エジプトに課された課題は重い。

(Newsphere編集部)

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