米国のアジア外交方針、各国が懸念?

【アジア重視を強調?】
 ブルネイで行われているASEAN地域安全保障フォーラムの外相会議に参加したケリー米国務長官は、ワシントンの外交議題が中東に回帰しつつある、との各国の懸念に対し、東南アジア諸国との関係を深めることに専心する姿勢を示した。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、アジアのある外交官は、米国防総省の支出削減やシリア問題への傾注などを挙げ、非公式に懸念を表明している。

 ベトナム、フィリピン、中国間における南シナ海の領有権問題に関しては、中国の影響が強くなることに懸念している東南アジア諸国に対し、ケリー長官は同海航路の安全保障を優先的に取り上げている。さらに、米国の関心はいずれかの国の「抑制」や「拮抗」が目的ではないとして、中国に配慮を示した。
 またケリー長官は、アジア外交に関して現状の方針を維持・強化する意向を示したことをウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じている。

【ケリー長官 北朝鮮の核問題に4ヶ国団結を強調?】
 ケリー長官は、北朝鮮に対しても言及している。北朝鮮の主要同盟国である中国を含めた、日本、米国、韓国の4ヶ国は、北朝鮮の核問題に対し「完全に団結している」と述べ、北朝鮮に核開発を断念するよう圧力を強めたとワシントン・ポスト紙は報じている。
 中国の王外相は同日、北朝鮮の核問題を解決するために6ヶ国協議を再開する必要があると述べた。ロシアのラブロフ外相は北朝鮮の核兵器保有について批判している。

【フォーラムにも付きまとう「盗聴問題」 ケリー長官に釈明求める】
 同フォーラム中にも、米当局のEU機関に対する盗聴問題、ケリー長官の釈明が求められている。メルケル独首相の首席報道官はベルリンで、「もし、事実なら絶対に容認できない」と記者会見で述べた。同国外務省はその件について話し合うため駐独米国大使を「招待」したとブルームバークは伝えている。
 この問題に対しケリー長官は、「正直に言うと、それについて聞いたことがない、それらのレポートも見たこともない」と語っているが、「その問題について調査することを約束する」と述べたことをブルームバーグが報じている。
 なお盗聴対象には日本の大使館も含まれており、今後日本政府の出方も注目される。

Text by NewSphere 編集部