中国に対抗?オバマがアフリカ支援を強調する理由

 アフリカ3ヶ国を歴訪中のオバマ米大統領は6月30日、南アフリカのケープタウン大学でアフリカ政策に関する演説を行った。
 この中でオバマ大統領は、サブサハラ(サハラ砂漠以南のアフリカ)の電力普及を倍にする新プログラム「パワー・アフリカ」を打ち出した。今後5年にわたり、米政府が70億ドルを出資し、民間企業からも90億ドルの投資を行い、サブサハラで発電所建設を促進するという。
 その他にも、これまでの援助という形を越えた、アフリカ大陸の民主主義の支援などを約束した。
 海外各紙は、オバマ大統領の政策の背景と課題について報じた。

【南アの電力事情】
 オバマ大統領が電力普及に言及した背景には、停電や法外な電気料金、発電所の老朽化という課題があるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。
 また、オバマ大統領が焦点を置いた「投資」は、「民主主義」と密接にリンクしている。サブサハラの電力普及を倍にする「パワー・アフリカ」の成功には、民主的な機関が重要だと指摘されている。

【オバマ氏不在と中国の台頭】
 南ア国民の中には、オバマ大統領がこれまで安全保障以外の点でアフリカを優先してこなかったと批判する声も根強い。
 一方、近年は中国の経済進出が目立ってきている。実際、昨年の中国・アフリカ間の貿易額は2000億ドルに上り、米国・アフリカ間の倍以上となっている。
 中国はエネルギーや日用品を供給する一方、アフリカ大陸のインフラプロジェクトにも強く関与してきたとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘した。

【マンデラ氏とオバマ氏】
 オバマ大統領は今回、各訪問先で南ア初の黒人大統領ネルソン・マンデラ氏の功績に言及し、自身をマンデラ氏と並べてアフリカの未来構想を描こうとしていたようだ。
 しかし、人種差別で深く分断された国を統一したマンデラ氏に対し、「オバマ氏は少なくとも現時点では、同じ方法で米国を統一することに失敗している」という批判をUSAトゥデー紙は掲載した。

 なおオバマ大統領は次の訪問地・タンザニアで、アフリカの工場や農場の米国進出を支援する「トレード・アフリカ」を発表するという米当局者のコメントをウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部