インド洪水で1000人以上死亡 「人災」の可能性も?

 例年より激しいモンスーンにより、インド北部で洪水や土砂崩れが発生した。死者数は1000人を超える見込み。発生から1週間がたったが、数万人が孤立しており、軍による救助活動を待っている状況だ。
 最も被害の大きいウッタラカンド州には、ヒンズー教の巡礼地ケダルナート寺院があり、毎年5~6月に多くの巡礼者が訪れている。同州の農相は、今回の洪水は過去千年で最悪の悲劇と述べた。
 パウエル在印米国大使は23日、ウッタカランド州の救援活動のため15万ドルの支援を発表した。
 海外各紙は大規模な被害をもたらした原因を探った。

【天災か?】
 近年、インドのモンスーンはますます不安定化しているという。今年のモンスーンは例年より2週間早く、より激しいものだった。
 インド気象局によると、6月1~18日のウッタカランド州の降雨量は通常より440%も高かった。また、モンスーンの速度は1961年以来、最も早かったという。
 その原因として、科学者は地球温暖化を指摘しているとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。

【人災か?】
 一方、川沿いを含めた生態学的に敏感な地域で、ホテルやインフラ建設など計画性なき開発が進められていることにフィナンシャル・タイムズ紙は言及した。急速に進む森林伐採などが、被害拡大に影響しているという指摘もあるという。

 同紙はまた、多くの孤立した巡礼者や彼らの安否を心配する親族は、少量の食糧に法外な料金を請求されていると言い、救援活動のおくれに不満を持っているとも指摘した。
 インドのシンデ内相は、政府の救援活動に係る組織間の連携不足を認めた。

【今後の被災者支援】
 グーグル社は安否情報サービス「パーソンファインダー」のインド版を立ち上げた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、6月21日時点で利用者は2100人に達しているとのこと。
 一方インド政府は、行方不明者の親族のためのホットラインを設置したとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。対応しているウッタラカンド州の警官は鳴りやまない電話に悲鳴を上げているという。

Text by NewSphere 編集部