米国ネット監視暴露のスノーデン氏、身柄はどこへ?

 米政府による個人情報の収集を「暴露」したエドワード・スノーデン氏は、香港に滞在している。
 中国政府は、今月7〜8日の米中首脳会談で新たな大国関係を築くことで合意したばかりということもあり、米国への大々的な批判や、スノーデン氏に関するコメントを避けてきた。しかし、米国側から、同氏が中国のスパイなのではという疑惑が挙がったため、沈黙を破り反論を開始した。
 海外各紙は、騒動が勃発して以来、初めてと言える中国側の重みのある発言や、香港の人々の活動について報じている。

【米中互いに譲らず、非難合戦になりかねない模様】
 スノーデン氏の中国スパイ説に対して、中国外務省は「全くばかげている」と疑惑を否定したとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。中国政府はスノーデン氏に関してそれ以上の言及を避けた一方で、米国に対しては「国際社会が同国の監視プログラムを懸念していることに注意を払うべき」と要請し、適切な説明を行うべきだとしたという。
 またスノーデン氏自身も、中国政府との協力関係を否定。スパイ疑惑は、米政府が職権乱用の問題から注意をそらすために提議しているに過ぎないとし、予想内の中傷だと述べている。

 これに対しオバマ大統領は、どの国も多かれ少なかれ情報の収集活動は行なっているとし、政府による諜報行為と企業秘密を盗む活動では性質が大きく異なると反論したとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。中国では他国の外交情報の他、アップル社のような人気企業の最新デザインを盗むようなハッキングを行なっており、それは窃盗行為に値すると強気の批判を展開しているようだ。

【すんなりと身柄を引き渡すことにはならない?】
 一方、スノーデン氏の身柄を米国へ引き渡すことに反対する動きが、中国メディアや現地の人々らの間で活発になっている。
 人民日報傘下の環球時報では、同氏を米国に送還することは、彼自身の信頼を裏切るだけでなく、世界中からの期待を失望させる、と述べているとフィナンシャル・タイムズ紙は取り上げている。
 またウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、香港住民509人を対象とした世論調査では、同氏の身柄引き渡しに「賛成」するのは18%。「反対」もしくは「強く反対」と答えた回答者は合計約50%であったという。

 同氏が身を寄せている香港は、米国との間に犯罪人引渡し条約を結んでいるものの、「公益に関する行為」であった場合は例外となる。スノーデン氏は香港の裁判所で争う姿勢をみせている模様で、そうなれば判決までに2〜3年はかかることが予想されている。

Text by NewSphere 編集部