中国の工場火災で119人死亡 惨事の原因は?

 中国北部吉林省にある宝源家禽処理工場で、3日午前6時ごろ、火災が発生。少なくとも119人が死亡し、54人が負傷したと報じられている。吉林省の当局者は、アンモニアが漏れて爆発が起き、火災につながったと発表。国営新華社通信によれば、複雑な屋内構造や狭い出口が、救助活動をより困難にさせたと報じている。
 中国の大手マイクロブログ「新浪微博」には、当局の点検漏れを指摘する投稿など、怒りの声が寄せられている。
 海外各紙は、中国において近年で最も悲惨な火災事故の一つとして、原因と課題を報じている。

【惨事の要因】
 中国国営メディアの取材に対し、ある従業員は「この工場の扉は、通常一つを除いて全て外から施錠されている」と語った。さらに、「すべての照明と避難標識が故障していた」という証言もある。出口が塞がれていたことなど、ずさんな安全管理が原因で脱出は困難を極めたと、火事から逃れた多くの従業員が述べている。

 中国の工場では、非常口はしばしば施錠されているか塞がれており、当局の点検も賄賂を使って容易に逃れられるとフィナンシャル・タイムズ紙は指摘している。
 ニューヨーク・タイムズ紙も、「多くの工場は、セキュリティ上の理由で扉が施錠されており、非常口が適切に管理されていないか、あるべき優先順位が与えられていない」という香港の専門家の指摘を掲載した。

【ずさんな管理で加工された食品は安全なのか】
 この火災事故を受け、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、先日発表された、中国食肉加工メーカー大手の双匯国際による、米スミスフィールド・フーズの買収による、米国の食の安全への影響を懸念している。業界関係者が、食品製造現場の問題はどんなものであれ、食品汚染のリスクを高めるという見解を示していると報じた。
 フィナンシャル・タイムズ紙も同様に懸念を示し、2011年に同社の製品から違法薬剤である「ラクトパミン」が検出された問題で「中国食品の危険は無限」と報じている。
 なお双匯国際の万隆董事長は、買収について、「米スミスフィールド・フーズから食品安全の先端技術などを導入し、業界トップへ躍り出る契機にしたい」と述べていた。

 中国共産党は、詳細な数字を公表していないが、安全性は改善していると発表している。
 しかしながら、公式の統計によると、この2年間だけで年に7万人以上が産業事故で死亡。約2カ月前には、同国南部の豚肉加工工場で、今回同様のアンモニア漏出事故で約400人が危険にさらされていた。

Text by NewSphere 編集部