EU、ロシアがそれぞれ武器供給 シリア内戦の行方は?

シリア

 EUは27日、シリアの反体制派への武器禁輸の解除で合意した。対してロシアは28日、シリア内戦に「火に油を注ぐ」と非難し、来月スイス・ジュネーブで行われる予定の和平会議に悪影響を与えたと批判した。ロシアのリャプコフ外務次官は、EUの決議に対し、「一方では流血を阻止するとしながらも、武器供給を公言している」、「ダブルスタンダード」と語っているとインタファックス通信は報じている。
 海外各紙は、EUとロシアの言動がシリア内戦にどのような影響を与えるか報じている。

【ロシアはシリアにミサイルを供与 内戦拡大か】
 ロシアは28日、アサド政権へ高性能対空ミサイル「S300」を供与すると発表した。
 これは、米国の「パトリオット」のような地対空ミサイルを迎撃できる上、射程は最大300kmに及び、敵側領土深くに攻撃することができるという。実際に提供されれば、アサド政権の防空能力が大幅に増強される形だ。
 ロシアの発表に対し、イスラエルのモーシェ・ヤアロン防衛大臣は同日、もしロシアが実際にミサイル供与を行えば、対抗措置を講じると警告し、緊張が増している。
 なおロシアは今回のミサイル提供は既存の契約の一部だとしている。
 フィナンシャル・タイムズ紙はロシアに対し、来月の和平会議とミサイルの供与は矛盾していると批判している。

【ジュネーブ和平会議 シリア内戦を終息できるか】
 米国のケリー国務長官とロシアのラブロフ外相は27日、シリア内戦の終息に向けた国際会議の開催について、非公式会談を行った。 ラブロフ外相は、米露両国は「会議の開催に当たって前提条件を設けるべきではないと考えている」とした。
 なお、既にシリア政府は「基本的に」同意する意向を明らかにしている。シリアのムアレム外相は、会議について「シリアの危機の政治的解決に向けた好機」だとシリア政府は考えているとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。一方、反体制派は内部で意見が分裂しているとみられ、参加するかどうか表明していない。
 しかしながら、シリアの反体制派を支援する米国と、アサド政権を支援するロシア両国が主導する予定の国際会議で、2年以上続いているシリア内戦を終息することができるか注目される。

Text by NewSphere 編集部