米ヤフー、若者に人気のタンブラー買収へ そのねらいとリスクとは?

 米ヤフー取締役会は19日、ブログサービスの米タンブラーを現金11億ドルで買収することを承認したと関係筋が明らかにした。タンブラーの取締役会も承認し、ヤフーは20日にも正式に発表する見通しだと報じられている。
 なおヤフーとタンブラーの広報担当者はコメント要請に応じなかったという。

 タンブラーは2007年に設立された会社で、同サービスでは簡単にブログ作成や写真・動画の投稿ができ、他のユーザーの更新をフォローできる。ブログとソーシャルメディアを効果的に融合したサービスで、急速に若者から人気を集めている。
 海外各紙は、ここ数年のソーシャルメディア会社買収の中でも最大規模として注目している。

【ヤフーの狙いは?】
 昨年8月にヤフーCEOに就任したメイヤー氏の一番の狙いは、ソーシャルメディアへの参入だ。その他にモバイル端末への移行や収益拡大もにらんでいるとみられる。
 ヤフーが年配層の顧客ベースであるのと対照的に、タンブラーは若者に人気があり、スマートフォンの分野で成長している。
 しかしヤフーの最近の決算報告によると、同社の手持ち現金は12億ドルだという。そのため今回の買収は無理があり、同社が貪欲にソーシャルメディアへの参入を望んでいることを強く示唆していると、テッククランチは報じた。
 またニューヨーク・タイムズ紙は「彼らは流行に乗りたがっている」というアナリストのコメントを掲載した。

【懸念されるリスク】
 ヤフーは広告でタンブラーの収入を増やせると考えているという。ただ、ソーシャルメディアサイトは「お金を稼げるか?」とニューヨーク・タイムズ紙は指摘している。
 実際、タンブラーのカープCEOはユーザー獲得に集中し、金儲けは後回しにしてきた。昨年5月からインタラクティブ・キャンペーンなど新しい広告に取り組んできたものの、今年の収益目標1億ドルに対し、第1四半期に1300万ドルしか収益はなかったという。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回の買収の背景には、ユーチューブ、フェースブック、ツイッターなどの実績があるという投資家の指摘を掲載した。

 リスクとしては、タンブラーにはポルノなどの不適切なコンテンツも少なくない。また、広告収入を増やすことに積極的になり過ぎると、タンブラーの魅力を損なうリスクがあると同紙は指摘している。

Text by NewSphere 編集部