止まらぬタリバン襲撃 海外紙が報じるアフガニスタンの闇と希望

 アフガニスタンで、反政府武装勢力タリバンと見られる集団が、西部ファラー州の政府庁舎を襲撃し、市民を含む53人が死亡した。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、武装集団が裁判所や検察庁舎などを攻撃し、治安部隊と交戦したと報じた。同紙によると、銃撃戦の末、市民44人と武装集団9人が死亡し、72人が負傷したという。タリバンは犯行声明を出しており、襲撃は、庁舎内の裁判所で拘束されていたタリバン兵の解放を狙ったものとみられる。

 タリバンは、カルザイ政権の和解への呼びかけに応じず、首都カブールを含む各地で攻撃を繰り返しているが、100人を超える死傷者を出す攻撃は最近では異例だと、ニューヨーク・タイムズ紙は報じている。2014年末には駐留外国軍からの治安権限移譲が完了し、アフガン軍や警察が治安維持を担うことになっているが、治安回復は厳しい情勢だという。
 国際治安支援部隊のダンフォード司令官は、「今後もタリバンの攻撃はやむことはないだろう」と深刻化する情勢を悲観している様子と報じられている。

 こうした中、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「英雄の復帰」を報じた。アフガニスタンの情報機関である国家保安局(NDS)のアサドゥラ・ハリド長官は、昨年12月に自爆テロに遭遇し重傷を負っていた。ハリド長官は、その後回復を遂げ、大統領官邸でカルザイ大統領に会談し任務を再開したと報じられている。ハリド長官は、タリバンの忠実な反対者として有名で、カルザイ大統領から厚い信頼を得ているという。多くの市民から「ハリド長官に望みを託す」といったコメントも寄せられ、カブールの英雄として復帰した同氏の今後の活躍が期待されているようだ。

Text by NewSphere 編集部