英首相訪印 英紙が嘆いた演説内容とは?

Cameron

Cameron 18日、キャメロン英首相はインドを訪問した。キャメロン首相には、経済界・教育界・政界から百数十人が随行し、過去最大規模の代表団を率いての訪印となった。

 英国はインドにとって第3の投資国であり、逆にインド企業も約700社が英国内で操業するなど結びつきが強い。2012年度の両国間の商品貿易は161.6億ドルと、前年比27%の増加となっていた。両国はこれを2015年までに357億ドルにまで増やしたい考えであるが、一方でボーダフォン・グループのインドでの株式購入における課税紛争や、インド人の英国ビザ取得の難しさなどの摩擦もある。そこでウォール・ストリート・ジャーナル紙は、19日に行われるシン印首相との会談に期待を寄せている。

 またキャメロン首相は、ユニリーバ社ムンバイ本社において演説を行った。演説では、保険、銀行、小売部門などで外資導入を拡大するようインド政府に求める一方、英国も障壁低下の努力を続けていると語った。

 一方、英紙のフィナンシャル・タイムズやガーディアンは、キャメロン首相の演説・姿勢について辛口である。具体的には、下記のような批判を行なっている。

1.発言の矛盾。首相は、インド人ビジネスマンが短期ビザを1日で申請できるサービスの計画や、英国で勉強できるインド人学生の数に制限はないとの保証を語った。しかし首相は出発前、国内の予備選挙において、移民の医療、住宅、収入、法律的な援助へのアクセスを厳格化すると誓っていた。

2.首相はインドに、大規模なインフラ整備を「今すぐ始めなさい」と勧めた。しかしロンドンの空港容量逼迫については棚に上げている。

3.首相は企業の「脱税ではない税逃れ」のうち悪質なものについて、法改正による対処は難しく、モラルに訴えるしかないと認めた。

4.仕事を委任することの大切さを語り、「他人事デイブ(=デビッド)」との批判に油を注いだ。

5.夜は快眠すべきと発言。“3時間睡眠”で有名なサッチャー元首相と決別した。

 英紙の報道は、(日本でもおなじみの)“自国の政治家の言動に対する厳しいチェック”といえるかもしれない。なお日本紙は本件に関し、英国がインドに大型投資を表明したことなど、経済的な面に注目して報じている。

Text by NewSphere 編集部