大気汚染問題 ジレンマに陥る中国政府

大気汚染問題 ジレンマに陥る中国政府中国の中央部から東部にかけて、先週末から濃密なスモッグに襲われている。特に北京では、PM2.5(粒子径2.5マイクロメートル未満の特に有害とされるスモッグ)濃度が立方メートル当たり900マイクログラムと、記録的な高さに達した。

人民日報傘下の英字紙グローバル・タイムズ(中国)は、中国が大気汚染によって毎年GDPの1.2%を失っており、太原、北京、蘭州など中国の7都市が世界の最汚染都市トップ10に入るとの報告書を紹介した。李克強副首相は環境当局に対策を指示し、「我々は、分散的、非効率的な生産手段をアップグレードする必要があります。建設と消費は、生態系に害を与えるコストと引き換えに実現されてはいけません」と発言したという。

対してフィナンシャル・タイムズ紙は、北京駐在員がかねてより経験していた大気汚染の深刻さと、最近まで一般的な市民が事情を知らされず、政府のプロパガンダを鵜呑みにして北京の大気が充分に清浄だと信じ、無防備であった様子を伝えた。

ただ、4年前にアメリカ大使館が中国政府の抗議を無視して独自に大気汚染測定を開始しており、最近の中国のソーシャルメディア熱によってその情報が市民に伝わり得たことが、大きな変化になったとも指摘した。同紙はこれにより、公害性の高い石炭エネルギーに経済成長を依存してきた中国政府と新指導部が、「大気浄化のために断固行動して経済成長を傷つけるリスクを負う」か、「何もせず、ますます博識で要求深くなる国民を怒らせるリスクを負う」か、ジレンマに追い込まれたと評した。

Text by NewSphere 編集部