モンティ伊首相、続投宣言の波紋とは?

モンティ伊首相、続投宣言の波紋とは?
 21日に辞表を提出したイタリアのモンティ首相は、23日、自身の緊縮・改革路線に賛同し支援を約束する政治勢力の要請があれば、首相を続投するつもりであると明言した。モンティ氏は先日の記者会見で「モンティ・アジェンダ」を公表し、経済改革推進や競争力強化に必要な措置を発表していた。同氏は、この計画を政策綱領にしようとするどんな政党も「激励し、助言し、要請されれば指導する」用意があると述べ、自分を首相候補として指名してもらってもいいと語った。一方、ベルルスコーニ前首相や労働組合など、改革を阻害する要因については厳しく批判した。
海外各紙は、モンティ氏の動向が与える影響を分析した。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、一部の新聞が予測する新党立ち上げではなく、政策を掲げてその支持を問う手法だと紹介。2月下旬の投票に向けて、選挙戦が本格化する前に、先手を打った形ともいえる。民主党のリーダーであり次期首相候補のベルサニ氏が、モンティ氏の提案を学ぶと慎重に述べる一方、「イタリアはより多くの変化と職、そして平等が必要」とコメントするにとどまったと報じた。一方、自動車メーカー・フェラーリの会長モンテゼーモロ氏は、「モンティ・アジェンダ」を支持し、モンティ氏について「偉大な政治指導者であり、国際的な政治家」と称賛していると報じた。

 またニューヨーク・タイムズ紙は、ベルルスコーニ前首相との確執について着目している。今回のモンティ氏の発表を受けベルルスコーニ氏は「悪夢を見た。モンティ政権はまだ続くのか」と国営テレビで語ったと報じた。一方モンティ氏はベルルスコーニ氏の「ころころ変わる主張に付き合うと疲れる」と発言していると報じ、互いの批判合戦を紹介した。

 今後のイタリア政府について、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、モンティ氏の再出馬示唆は、ユーロ圏第3位の経済大国であるイタリアの総選挙の行方の不透明さを意味すると懸念している。労働法の簡素化、利益相反や汚職の一掃、女性の経済地位向上などが盛り込まれている「モンティ・アジェンダ」について、モンティ氏は「我々は後ずさりする危険な措置を回避しなければならないが、前進する必要もある」と述べたと報じた。今回のモンティ発言は、退陣する指導者である同氏の願いを示唆しているようにみえ、任期終了後もモンティ氏が率いた政権がこれまで導入した経済改革を取り消すつもりはないことを示していると報じた。

 しかし、イタリア政界により踏み込むことで、モンティ氏の地位が希薄化するのでないかという懸念もあると同紙は報じている。

Text by NewSphere 編集部