EUはノーベル平和賞に値するか?

EUはノーベル平和賞に値するか?  10日、ノルウェー・オスロで、欧州連合(EU)に対するノーベル平和賞授賞式典が行われた。約93万ユーロ相当の賞金は、戦争地帯の子供を助けるプロジェクトに寄付されるという。
 しかし各紙は、手放しでこの授賞を称賛してはいないようだ。

 EUからはファンロンパイ大統領、バローゾ欧州委員会委員長、シュルツ欧州議会議長、および27加盟国から20人の各国指導者が出席した(フィナンシャル・タイムズ紙は、総代表を1人に決められなかった事をすでに批判している)。一方、EU離脱が取り沙汰されているキャメロン英首相は欠席し、EUにより融和的な民主党・クレッグ副首相が代理出席した。

 ファンロンパイ氏らEU出席者や、ノルウェーノーベル賞委員会のヤーグラン委員長は、第二次大戦後、EU(前身はECなど)が設立され、以降平和を希求してこれまで様々な努力を行ってきたことを称え合った。また、引き続いて将来への責任があると述べた。ファンロンパイ氏は、国家分断に対処せんとしたリンカーンのゲティスバーグ演説を引用、バローゾ委員長はシリア紛争に言及して「世界の良心への汚点」と評した。ヤーグラン委員長も、「戦争の大陸から平和の大陸へ。この大陸が達成したことは、本当に素晴らしいです」と称賛している。

 しかし、長引く経済危機は認めざるを得ない事実で、ファンロンパイ氏も「やりくりに苦労する親、解雇されたばかりの労働者、幾ら頑張っても職にありつけないのではと恐れる学生。彼らがヨーロッパについて考えるとき、平和がまず最初に思い浮かぶものではないでしょう」と発言している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、EUがギリシャなどに緊縮財政を強いているうちは受賞に値しないとの意見があることを紹介し、また実際に前夜、ギリシャ議会のコーデラス議員が授賞に反対するデモ隊の前に登場し、「私の国や南欧の他の国を中世に戻そうとする人々に、賞を与えることができると言うのですか?」と演説したことを伝えた(ただし同紙は、市内では授賞後の祝賀ムードのほうが大きかったことも伝えている)。ニューヨーク・タイムズ紙も、ノルウェー自体EU加盟を否決していることや、デモ隊がEUの路線はアルフレッド・ノーベルの遺志に則っていないと考えていることを伝えている。

Text by NewSphere 編集部