カタルーニャ議会選で独立派諸党が過半数―国民投票へ前進―

 25日のスペイン・カタルーニャ州議会選挙で、州のスペインからの独立を求める諸党が135議席中の87議席と、過半数を獲得した。9月11日の建州記念日に150万人規模の独立派デモが起こるなど、同地域では独立問題が関心事となっており、投票率は69.5%と、同選挙では30年ぶり近い高さになった。ただし、選挙の前倒しに打って出た独立派・マス州知事の集中統一党は62議席から50議席に減少、他党連携を余儀なくされ、一方で独立阻止を唱える中央政府のラホイ首相の国民党が18議席から19議席に増加するなど、独立自体は支持されても、その主導権や州の統治政策に関しては不透明な情勢になっている。

 カタルーニャ州は経済的にスペイン諸州中最大で、ポルトガル1国にも匹敵する国力があり、これを失えば投資家からの信用力も含め、経済危機に苦しむスペイン本体には大打撃となる。裕福な地域が貧しい地域の重荷を嫌って対立する構造は、ヨーロッパ全体で頻繁に観察されるものである。また同州は独自の言語と文化を持ち、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、バルセロナ拠点の地域航空会社がカタルーニャ語を使わないことを非難する地元新聞の投書にも触れている。しかし同州が税収に関する自主権拡大や武装テログループとの交渉提案を中央政府に拒否されるなど、「二級市民扱い」に対して長年の不満が高まっていた。

 しかし、カタルーニャ州にとっても他のスペイン諸州との貿易なしでやって行けるのか等、不安は根強い。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、世論調査では57%が独立賛成であるが自治権拡大が与えられるなら賛成は44%に落ちると報じている。また欧州連合(EU)の加盟権を失う場合も、独立支持が低下するという。

 マス州知事はこの選挙を「カタルーニャの歴史上最も決定的な選挙」と銘打っており、一方国民党のカタルーニャ指導者・カマーチョ氏は「選挙結果自体よりもよほど大きいものが危機に晒されています。我々の未来と、互いに調和して生きる能力、スペイン他州との関係が、危機に晒されているのです」と危機感を表明した。またニューヨーク・タイムズ紙は、マス州知事が財政の失政から目を逸らすため独立問題を選挙戦術として悪用し、いたずらに州民の分裂を煽ったとする、ラホイ首相の非難を伝えた。

Text by NewSphere 編集部