台湾、尖閣領海侵犯 ねらいと背景

 25日午前、台湾の漁船約40隻と巡視船12隻が、尖閣諸島近辺の領海を侵犯した。海上保安庁の巡視船は放水などを行った。これに対し、台湾の巡視船も放水した。約4時間後、台湾側の全船が領海外に出た。

Financial Timesの報道姿勢-「漁業権保護」という台湾の主張を紹介-
 まず今回の事態の背景として、尖閣諸島の領有権をめぐる日中間の対立をまとめた。同じく領有権を主張する台湾は、日中それぞれと経済的・政治的に深い関係にあり、強い態度に出てこなかったと指摘した。しかし、中国漁船や監視船が尖閣諸島周辺海域に繰り出す中、島周辺の「漁業権を守る」という位置づけで行動を起こしたと紹介した。一方、日本側は事態のエスカレーションを避けたい考えで、冷静に対応する姿勢だと報じた。

日本紙の報道姿勢
 朝日、読売、産経ともにおおむね抑制的な筆致で記事を取り上げている。当然ながら、日本の「領海を侵犯」したと報じている点がFTとは異なる。朝日新聞は、漁船の抗議運動に巡視船を12隻つけたことが、台湾政府の姿勢を表していると分析した。読売新聞は、日中間に埋没すること、対日弱腰とみられることを恐れた台湾の馬政権の焦りが背景にあると分析した。産経新聞は、台湾の実業家が約1350万円を活動費として寄付したことを指摘している。

■朝日新聞
台湾船52隻、尖閣の領海侵入・放水 日本、違法と抗議

■読売新聞
台湾船が海保に放水…国連条約違反、日本は抗議

■産経新聞
抗議漁船動かす親中実業家の寄付金

Text by NewSphere 編集部