ムハンマドの風刺漫画出版 フランスは警戒態勢

19日、フランスでイスラム教の預言者ムハンマドを風刺する漫画が雑誌に掲載された。フランス政府はイスラム教徒による暴動を懸念し、21日から20ヶ国以上のフランス大使館や学校などの施設を閉鎖すると発表した。その日はイスラム教徒にとって礼拝日だからである。ファビウス仏外相は、「フランスには確かに表現の自由がある。しかし、この時期にそのような漫画を出版するのは、火に油を注ぐようなものだ。」と、問題の漫画を掲載した週刊誌「シャルリー・エブド」を批判した。背景として、ムハンマドを冒涜する映画に強い憤りを覚えるイスラム教徒により、世界各地で反米デモが起きている現状がある。

<各紙の報道>

FTは、シャルリー・エブドの風刺漫画の内容なども細かに報じた。FTによると、風刺漫画には、裸のムハンマドがわいせつなポーズをとっている写真などが載せられているとのことだ。中には、以前報道された、イギリスのウィリアム王子の妻であるキャサリン妃の上半身裸の写真と合成されていたものもあったそうだ。他にも、フランス映画のタイトルをもじった、イスラム教徒をあざけるような漫画も掲載されていたと報じた。

IHTは、イスラム教徒国家の今後の姿勢なども報じた。イスラム教徒諸国家はこの雑誌を「冒涜」と非難しつつも、国民に冷静な姿勢で望むよう求めていると報じた。フランスには法的な対処を要求しており、ホロコーストを疑う発言が罰せられることと対比し批判する専門家のコメントも掲載した。またシャルリー・エブド編集長のシャルブ氏が、「フランスは表現の自由を守るべきだ」と主張し、またイスラム教徒に対してデモの規制を行うことを「ショックだ」と表現したことも報じた。

WSJは、風刺漫画に対する政府の懸念と雑誌編集長のコメントを両方掲載した。シャルブ編集長は、フランス・ラジオ局RTLで、「ムハンマドを描く権利があるのかどうか、そしてそれが危険なのか疑問を持ち始めると、そもそもイスラム教徒や人間をも紙面に載せる権利があるのかについても疑問を持たなければならなくなる」と述べ、「そうなると最終的にわれわれは何も描けなくなり、世界やフランスにいる多くの過激集団が勝利することになる」と表現の自由を主張する姿勢だと報じた。 

<参考リンク>

【イスラム圏で広がる反米デモ】問題となった米映画の内容が酷過ぎる

Text by NewSphere 編集部