ポスト安倍を語り始めた海外 ふさわしいのは自民・民進議員ではなく……?

flickr / CSIS: Center for Strategic & International Studies

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 加計学園問題や「テロ等準備罪」を強引に可決させたことなどで、安倍政権の支持率は急激に低下した。不人気は先の東京都議会選挙にも影響し、結果は「都民ファーストの会」の圧勝で、自民党は大惨敗に終わった。安倍首相は内閣改造で政権基盤を強化する意向だが、国民の政権への不信感は強く、これまで3選もありと見られてきた安倍首相の時代が、そろそろ終わりそうだと報じる海外メディアが出てきている。

◆内閣改造で信頼は戻るか?首相の3選は困難とも
 ブルームバーグ、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)、ロイターはいずれも、日本の報道機関の世論調査で、安倍政権の支持率が30パーセント台に落ち込んでいることを報じている。

 ロイターは、安倍首相は8月に内閣改造を予定し、菅官房長官、麻生財務相の主要メンバーを残留させ、失言や受け答えの悪さで支持率低下や都議選惨敗の一因を作ったと見られている稲田防衛相、金田法務相を外して、流れを変えようとしていると述べる。しかしブルームバーグは、10年前の衆院選惨敗の際にも、安倍首相は内閣改造で支持率アップを目指したものの失敗に終わったと指摘している。

 もっともブルームバーグは、当分の間は安倍政権継続と見ている。「10年前との違いは、民進党(当時民主党)がひどく弱く、自民党のなかにも安倍首相より支持を集められる人材がいない」という国際政治学者の三浦瑠麗氏のコメントを紹介し、来年秋に行われる予定の自民党総裁選までは、このままだろうとしている。ロイターは、これまで野党の弱さ、衆参両院での圧倒的多数の議席数、自民党内での挑戦者不在が安倍首相にプラスに働いてきたとするが、今のような支持率が続けば、挑戦者の台頭を許すことにもなり、ほぼ視野に入っていた3選は難しくなると見ている。

◆動き出したライバルたち。ただ、政策は見えない
 崩れだした安倍政権を見て、海外メディアはポスト安倍を語り始めている。ロイターは、岸田外相が閣内に残ることを望んでいないようだという国内の報道を取り上げ、これが次の総理を狙う岸田氏からのサインで、安倍首相が追い詰められているという認識を強化することになるという、テンプル大学日本キャンパスのジェフリー・キングストン氏のコメントを紹介している。政界の情報筋や専門家によれば、安倍首相よりタカ派色が薄いとされる岸田氏は、安倍政権の支持率低下で、挑戦者となる準備を加速させているようだ(ロイター)。

 ブルームバーグは、安倍首相のライバルとなるのは、岸田外相と石破元防衛相だとする国内報道を紹介し、両者がこのところ徐々に首相に批判的になりつつあると述べている(注:その後の国内報道で、岸田氏は13日に安倍政権支持を表明)。もっとも、元自民党総務税制調査会副会長の村上誠一郎氏は、挑戦者となる可能性のある政治家にはアベノミクスに変わる政策ビジョンがないことが問題だと指摘している。

◆唯一自民党に対抗できるのは小池氏。アベノミクスはどこへ?
 ブルームバーグが引用するNHKの調査では、自民党の支持率は6 ポイント下がって30.7%、民進党は5.8%で、47%の回答者は無党派だった。また、朝日新聞の調査では、82%が自民党に対抗できる野党が必要と答えたことも紹介している。

 アジア・タイムスに寄稿したジャーナリストのウィリアム・ペセック氏は、気弱な岸田外相、タカ派の石破氏、タレント政治家の誰に対しても周りの人々は肩をすくめるとし、賢く国際的な考え方で抜け目のない小池都知事こそ、次の総理大臣にふさわしいとする。同氏は、4年半のアベノミクスで安倍首相が完全に打ち出せたのは金融緩和という矢のみだと指摘し、日本を取り戻すために経済に大変革を起こすとしたアベノミクスよりも改憲に力点を置く姿勢は、まるで安い商品で顧客を釣り、高額商品を売りつける「おとり商法」だと安倍首相に批判的だ。小池氏は自民党を出て都議選に勝利し、性別を越えてリーダーとなり、スキャンダルと失言ばかりの安倍政権にはない勢いがあるとし、小池氏が総理の地位を狙う事になれば、安倍首相にとっては悪夢だと述べている。

 一方FTは、安倍時代の終わりは見えているとしながらも、安倍首相がいるいないにかかわらず、アベノミクスは続けなければいけないと述べる。今の安倍首相ができる最良の仕事は、自分の首相としての役目が終わった後でさえも、アベノミクスは続けなくてはならないことを党や国民に分からせることだと述べ、ポスト安倍がアベノミクスを継続できる人物であるべきという見解を示している。

Text by 山川真智子