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日豪が米軍伝統の“サンタ作戦”に初参加 2国間同盟から新たな形へ…背後にある米国の思惑

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日豪が米軍伝統の“サンタ作戦”に初参加 2国間同盟から新たな形へ…背後にある米国の思惑

 米空軍は8日から14日にかけて「クリスマス・ドロップ作戦」を実施した。グアムの基地を拠点として、ミクロネシアの島々に、日用品や食料、教材やおもちゃなどを、輸送機からパラシュートで投下するというものだ。今年で64回目という長い歴史をもつこの作戦に、今回初めて、日本の航空自衛隊とオーストラリア空軍が参加した。

◆ミクロネシアの人たちへのプレゼント
 1952年、グアムのアンダーセン米空軍基地から飛び立った航空機が、ミクロネシア連邦カピンガマランギ島上空を飛行していた。その際、島民が自分たちに手を振っていることに気づいた搭乗員が、機内にあった物資を箱に詰め、パラシュートを付けて投下した――というのがこの作戦の発端である(米空軍横田基地公式ウェブサイトより)。以来、毎年12月に行われており、米国防総省の人道目的の空輸任務としては最も歴史が長いものとなっている。

 輸送はアンダーセン基地と横田基地の米空軍部隊が中心になって実施している。横田基地からC-130輸送機がアンダーセン基地に飛び、そこをベースキャンプとして島々に輸送を行う(在日米大使館公式マガジン「アメリカン・ビュー」より)。輸送される物資は、グアム島の住民や企業、軍職員などからの寄付金、寄贈品によって賄われている。民間ボランティアとの協力の下、準備はアンダーセン基地で3月から行われていたそうだ。今年の作戦は、北マリアナ諸島(米自治領)、ミクロネシア連邦、パラオ共和国の56の島々に、計18トン以上の生活物資を送り届けるものだった。

 贈られる物資は、食品の缶詰、漁網などの漁具、本や教材、衣服、おもちゃなど多岐にわたる。箱に詰めて投下される。今年投下される箱は100個以上に上った。またAP通信によると、今年は1箱に1個、サッカーボールが入れられたそうだ。これらの物資は2万人への支援になるという。グアム大学の遠隔教育スタッフがアマチュア無線を使って島民と通信し、島民が必要としているものを把握するそうだ。

 米軍準機関紙の星条旗新聞は、ファイス島という人口300人の小さな島に約800ポンド(363キロ)の箱2つが投下されたことを伝え、「サンタが早めにやってきた」と述べた。また、物資の梱包に使われる段ボールなどの資材でさえ、この島の住人にとっては貴重で役に立つものだ、と伝えた。島の長は「たいていの年、この日が私たちにとって1年で一番重要な日だ」と語っている。

◆人道援助、災害救援の際の物資投下の訓練として
 この「クリスマス・ドロップ作戦」は米空軍にとって訓練でもある。横田基地は人道援助、災害救援の大切な訓練だとしている。この作戦は、太平洋地域で自然災害が発生した時の人道支援の即応に備え、低コスト低高度パラシュート投下訓練の場としての機能を果たすものだという。これは使い捨てパラシュートなどを用いたものだそうだ。

 今年はこの作戦に、日本の航空自衛隊とオーストラリア空軍がメンバーとして参加し、初めて3ヶ国合同訓練という形で行われた(空自は2013年にはオブザーバーとして参加している)。AP通信によると、空自と豪空軍はC-130を各1機派遣した。なお米空軍は3機のC-130を用意した。

 米第5空軍第374空輸航空団司令官のダグラス・C・デラマター大佐は、この訓練は「困っている人たちに、緊急に必要な物資を運ぶことに加えて、米軍と同盟国の航空機搭乗員に特別な訓練(の機会)を提供する」と、この作戦の開始式で語った(横田基地)。「地域全体、および世界中で、迅速な人道援助、災害救援と、即時の補給任務の実施がいっそう容易となる、より強固な力をこの合同訓練はもたらす」と語っている。

 星条旗新聞は、この作戦は、米空軍の飛行隊が自発的に始めたささやかな行動だったが、現在では、いくつもの国の空軍、多数のボランティア、何ヶ月もの計画準備を伴う、非常に詳細に計画された人道的活動、訓練活動になっている、と語る。

 米空軍の戦略計画部長であるグレゴリー・ギヨー准将は、この作戦は、特に予算の制約があって部隊も多忙な時に、3国の共同訓練の良い機会を提供する、と語っている(AP通信)。

 オーストラリア空軍のクリストファー・バッシングスウェイト少佐は、ウエスト・オーストラリアン紙で、「この作戦は、アメリカおよび日本と、お互いの技量と手順をより良く理解するため、協力して取り組む好機でもある」と語っている。

◆自国の同盟国同士の横のつながりを強化したいアメリカ
 今回の作戦に日本とオーストラリアが初参加したことについては、軍の技量向上や連携の向上という狙いだけでなく、アジア太平洋地域で、同盟国間の多角的な協力関係を強化したいというアメリカの戦略も、要因としてあったようだ。

 AP通信は、この作戦は緊密な同盟国である両国と3国間協力を深めるというアメリカの狙いにとって役立つものだと指摘した。専門家らは、アメリカが近年、中国の軍事的台頭を警戒しており、この3国の結びつきを強化してきている、と語っていると伝えた。

 ギヨー准将は、「ここ太平洋でのパートナーシップは、地域の安定と繁栄を維持するためのわれわれの戦略の主要な基礎である。日本とオーストラリアはその目標に共通の関心をもっている」と語っている。ギヨー准将は、この作戦に日本とオーストラリアを招くことは、3国が実施している他の取り組み(合同演習など)の理にかなった延長だ、と語っている。

 横田基地によると、デラマター大佐は開始式のスピーチで、空自と豪空軍に対して、「あなたがたがこのたび参加することは、同盟を現代化すること、共有する価値観を強固にすること、地域でのわれわれの協力を深化させることへの、われわれの専念と決意を際立たせるものだ」と語った。

 AP通信によると、アメリカは、アジアの5ヶ国と結んでいる2国間同盟の(自国がハブとなる)「ハブ・アンド・スポーク」のシステムから脱して、(同盟国同士の横のつながりのある)多角的な同盟にしたいと考えているという。

 米ハワイのシンクタンク、パシフィックフォーラム CSISのブラッド・グロッサーマン事務局長は、日米豪3国のパートナーシップは、太平洋の同盟国に対する米軍の戦略にとって「お手本的存在」だと語ったという(AP通信)。アメリカは、日米韓の3国でも同様のことを試みているが、日韓の歴史問題のせいで苦戦している、とAP通信は語る。

 グロッサーマン氏は、3国間の連携は、航行の自由、紛争、その他の原則の平和的解決に関して、同じ意見を持つ米同盟国を団結させる可能性がある、と語っている。氏の見解を敷衍(ふえん)するならば、この「クリスマス・ドロップ作戦」も、「航行の自由作戦」など将来的にさらなる協力への呼び水なのかもしれない。

(田所秀徳)

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