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“安倍首相のウーマノミクスに打撃”助成金申請0件、海外が大きく報じる理由とは

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“安倍首相のウーマノミクスに打撃”助成金申請0件、海外が大きく報じる理由とは

 女性の登用に関する厚生労働省の企業への助成金について、昨年4月に制度が始まって以来、これまでに申請が1件もなかったことが判明した。いくつかの海外メディアはこれを、安倍首相の「ウーマノミクス」にとって打撃だと報じた。そこには、「ウーマノミクス」が思うように成果を挙げていないのではないか、という見解が影響しているようだ。

◆「打撃」のオンパレード
 申請がゼロだったことについて、ブルームバーグは、「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標を掲げている安倍首相にとって申請ゼロの事実は打撃」、CNNの経済ニュースサイトCNNマネーは、「安倍首相の働く女性の支援計画にとって打撃」、クリスチャン・サイエンス・モニター紙(CSM)は、「『ウーマノミクス』とも呼ばれる、より多くの女性を日本の減少している労働力人口に参入させるという、安倍首相の難問を抱えた計画は、もう1つの不面目な打撃を受けた」、と報じた。

◆ハードルの高すぎる助成金
 厚生労働省の問題の助成金は、一体どのようなものだったのだろうか。

「ポジティブ・アクション能力アップ助成金」というのがその名称だ。女性の職域拡大、または管理職登用などについての企業の取り組みに対する助成金である。職域拡大というのは、女性が少ない職務に女性が就くことを指す。

 助成金を望む企業は、数値目標を設定し、それを厚労省が設立したウェブサイトで公開し、社員に対して必要なスキルや社内の意識改革のための研修を30時間以上実施する。6ヶ月以上その取り組みを続けた後、数値目標を達成して初めて、助成金が受けられる。

 そこまでして、企業が受け取れる助成金は、中小企業で30万円、大企業なら15万円だった。これは1人当たりではなく、総額だ。

 厚労省は昨年度、およそ400件の申請を見込んで、1億2000万円の予算を組んでいた。また今年度は、倍の2億4000万円の予算を取っている(NHK)。しかしこれまでのところ、申請はまだ1件もないそうだ。

 ブルームバーグは、基準を満たすのが難しかったのかもしれない、と報じた。同省の担当者の「30時間の研修制度を成し遂げるのがちょっと難しいと企業側からコメントをいただいた」という言葉を伝えている。東京新聞によると、同省は原因を「助成金支給を数値目標達成時に限定したため」と分析しているという。

 厚労省は、基準や支給の条件、支給額の見直しを行い、今月から緩和した新たな要件で申請を受け付けるようだ。

◆海外メディアの評価には、首相の「ウーマノミクス」全体への評価が混ざっている?
 企業にとっては、助成金の獲得で、女性の登用に積極的な企業であるとの証を得られるかもしれないが、負担と比べて、全体として十分なリターンがあるとは認識されなかったようだ。

 それにしては、上で引用した「打撃」という海外メディアの評価は、ずいぶん大げさなように思われる。安倍首相が積極的に唱道している「ウーマノミクス」全体への評価が、そこに影響しているように思われる。

 安倍内閣は「女性が輝く社会」を作ることを最重要課題の1つとしている。2013年の国連総会や2014年のダボス会議での演説、またさまざまな国際シンポジウムの場において、首相はたびたびその姿勢を表明している。そのため、海外メディアにおいても、首相が「ウーマノミクス」に力を入れていることはよく知られている。

 ブルームバーグは、首相は減少する労働力人口を強化し、日本経済の成長を支えるため、より多くの女性の職業参加を必要としている、と伝えた。首相はこの目的のために、先週公表された新たな経済計画(アベノミクス第2ステージ、新3本の矢)に、家庭への支援の強化を含めた、と語る。

 一方、よく知られているだけに、まだ期待される水準の成果には達していない、との見方が一部メディアにはあるようだ。

 CNNは、政府と外部の専門家はともに、日本を増強するための方策として、女性を支援している、と伝える。しかし現状では、日本の女性の労働参加率は約65%でしかなく、それも多くはパートタイムの仕事である、と報じている。この問題は、保育リソース(施設、人材等)の不足と、企業が女性を雇用せず、教育せず、最高幹部に登用していないせいで悪化している、と専門家は語っていると伝えている。

 ビジネスニュースサイトQuartzは、不振に陥っている日本経済は高齢化と労働人口の減少に直面しており、女性がその緩和に寄与しうる、との認識を首相が持っていると指摘する。2013年に、首相はウォール・ストリート・ジャーナル紙に「『ウーマノミクス』の力を解き放つ」という文章を寄稿している。そのなかで首相は、ゴールドマン・サックスのキャシー松井氏らが、女性の力を「いまだに活用されていない資源の最たるもの」としたことに言及している。Quartzはそのことを取り上げて、この資源の活用は、これまでのところ、難題であることが判明しつつある、と語っている。

 CSMは、日本の「ウーマノミクス」計画はなぜ失敗しているのか、と手厳しい見方を前面に出す。過去の自紙の報道から、世界経済フォーラムの2014年の「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート(世界男女格差報告書)」において、世界男女間格差インデックスで日本が142ヶ国中104位だったことを伝えている。これは世界の主要経済国の大半よりはるかに下位であり、いくつかの発展途上国にも負けている、と語っている。

 またCSMは、同じく過去の報道(2014年)から、日本の働く女性の6割は、第一子を出産する際に労働力人口を離れる傾向がある、と伝えた。母親たちは、十分な保育サービスがないと語っている、としている。

◆「ウーマノミクス」はまだまだ途上
 安倍首相の「ウーマノミクス」に対するこれらの評価は、果たして正当なものだろうか。まず、そもそも低い水準からのスタートだったことを忘れてはならないだろう。

 CNNなどが言及するとおり、この8月には女性活躍推進法が可決され、来年4月に施行される。これは、企業に対し、自社の女性活躍の現状を分析し、女性登用の数値目標を含む行動計画の策定と公表を求めるものだ。従業員301人以上の企業では義務化され、300人以下の企業では努力義務となる。

 また先月24日に安倍首相が発表した「アベノミクス第2ステージ」「新3本の矢」では、「第2の矢」の「子育て支援」で、保育園に入れない待機児童をゼロにすることもうたわれた。また「第3の矢」では、「介護離職ゼロ」が目標に掲げられた。現状ではこれらは女性に重くのしかかっている問題だ。安倍首相の「ウーマノミクス」は、まだその途上にある。

(田所秀徳)

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