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70年談話、安倍首相にとってチャンス?何を言っても変わらない?海外メディア論評

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70年談話、安倍首相にとってチャンス?何を言っても変わらない?海外メディア論評

 安倍首相は14日、戦後70年談話をいよいよ発表する。同日夕方の臨時閣議で閣議決定される。談話の内容について、明確な謝罪を含むものなのか、過去の談話の文言をそのまま用いるのかなど、国内および中国、韓国、またアメリカなどで大きな注目を集めてきた。海外メディアでは、この談話によって日本と中国、韓国との関係が改善するどころか、ますます緊張が高まるのではないかといった懸念や、首相がどのような表現を用いたとしても、結局、事態は好転しないだろうとの悲観的な見方が伝えられた。その一方、この談話は安倍首相にとって大きなチャンスだとする論評も現れた。

◆首相自身のためにこそ謝罪を行うべき、との論説
 ブルームバーグの論説サイト「ブルームバーグ・ビュー」(BV)の論説室による社説は、安倍首相は過去の談話の文言を継承して、明確に謝罪を行うべきだという主張だ。それは、中国、韓国への外交的配慮のためというよりも、首相自身の政策遂行のために重要だからというもので、いささか目新しい主張だ。

 反省の言葉を繰り返すことは、首相が明言している、国の誇りと自信を取り戻すという行動指針と矛盾しないだけではない。それは、日本が世界の有力国として軍の増強に着手しているいまこそ、欠くことのできない最初の一歩なのだ――BVはそのように語る。

 安倍首相は日本の安保政策を見直しており、その具体的な第一段階が安保法制である。しかし安保法案は国内で激しい反対にぶつかっている。BVによれば、安倍首相が武力紛争に偶然関わるようになるかもしれない、という有権者の心配が、その理由の一端だ。そこで、特に中国との関係が改善すれば、その心配は和らげられるだろう、とBVは述べている。

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)も、談話と安保法案の関係に触れている。不人気な安保法案を(衆議院で)強引に可決したために、首相の支持率はここ数ヶ月で急落した。もし談話が、日本の戦時の歴史についての論議を呼ぶものであれば、反対がさらに増えるるだろう、と同紙は語る。BVと違って、マイナス方向の影響の心配である。

◆何を言っても無駄ではないか、との悲観論
 BVの主張の前提は、過去の談話の文言を踏襲して謝罪すれば、中国、韓国との関係は改善に向かうというものだ。そうはならない可能性もBVは指摘しているが、この点についてBVは楽観的である。しかし、この件に関しては、他メディアでは悲観的な見方も多い。

 ロイターは、首相が過去の談話の文言を使用するか否かが、中国、韓国の注意を引いていることを伝える。そして、談話(の原案)に「お詫び」や「植民地支配」、「侵略」など、過去の談話の文言が含まれているとの10日のNHKの報道を引用する。しかしその上で、日本と中国、韓国との確執が続く地域の力学を考えると、安倍首相が何を言おうとも、歴史をめぐる不和はすぐには消えていきそうもない、と語っている。

 その力学というのは、中国政府(共産党)、韓国政府は、国民からの支持を得るために、しばしば反日感情を利用しているという点、また日本の保守派政治家も、戦時の残虐行為の否定論者や「謝罪疲れ」に苦しむ人たちを含む支持基盤に、周期的に迎合している点だという。

 FTでは、明治大学の大沼保昭教授(国際法)が、韓国の時として頑固でナショナリスト的なアプローチと、慰安婦問題についての韓国内の感情の強さを考えると、安倍首相がどんな言葉遣いをしようとも不十分だということになるかもしれない、と語っている。

◆談話に対する姿勢が変化してきた安倍首相
 FTは、談話に対する首相の姿勢が変わってきたことに注目している。一時は、安倍首相は談話に独自性を込めることを望んでいると考えられていた。しかしその後、首相は、平和主義で明確な謝罪が談話に含まれることを望む連立与党のパートナーの公明党を含めて、より広範囲から意見を聞いている、とFTは語る。

 多数の政治的、外交的制約によって安倍首相は、よりナショナリスト的な姿勢を取らないよう強いられている、と同紙は語る。前述の支持率の問題もその一つだ。また、中国、韓国との首脳会談を実現させたいとの思いもある。談話の内容次第では、この可能性が消し飛び、首相の外交政策はぼろぼろになる、とFTは語っている。

 またFTは、首相が今回の談話で過去の談話の文言を再利用しそうだ、としつつ、自身のナショナリスト的な見解に、より合致するような文脈でそれを表現するかもしれない、と語っている。同紙が例として挙げているのは、4月に行われたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)での安倍首相のスピーチである。そこで首相は、日本の戦後の反省について過去時制で語った、と伝えている。

(“侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない。”“国際紛争は平和的手段によって解決する。” バンドンで確認されたこの原則を、日本は、先の大戦の深い反省と共に、いかなる時でも守り抜く国であろう、と誓いました。――外務省ウェブサイトより)

 今回の談話でも、このようにすれば、保守派の支持基盤を満足させつつも、謝罪的に聞こえる声明を出すことが可能だろう、とFTは語っている。

 ちなみに、産経ニュース(12日)では、「特定の国へ直接謝罪する文脈ではなく、戦後50年の村山富市首相談話の『お詫びの気持ちを表明』した部分を引用するような間接的な形で触れる案が有力」だと報じている。

◆ナショナリストと見られている安倍首相だからこそ、謝罪にはパワーがある
 安倍首相の右派の支持者は、首相が何を言おうとも中韓首脳を満足させることはないだろう、と不平を言っている、とBVは語る。そして、この悲観的な考えは、2つの事実を無視している、と述べる。第1に、安倍首相のよく知られている歴史修正主義傾向が、首相の誠意への信頼を損なったということだという。すなわち、靖国参拝などにより、首相の姿勢への中韓の疑念が増大したということだ。そこで、首相自身が率直な謝罪をしないかぎり、中韓政府は、この問題に終止符を打たない十分な理由を得ることになる、とBVは語っている。

 第2に、安倍首相の公然のナショナリズムによって、首相には、和解の理由を提示するにあたって二つとない立場が与えられている、とする。すなわち、そのように思われている首相だからこそ、首相から反省の言葉が発せられれば、過去の談話以上の大きな感情的な説得力を持ち、相手方に片が付いたという気持ちをより提供するだろうというのだ。

 BVがこのように楽観的な見方をするのは、経済的理由から、日中韓はともに和解を切望しているはずだとの認識があるからだ。日中韓すべてにとって、貿易と投資の拡大は優先事項のはずだ、とBVは語っている。

 もっとも、BVは、たとえ首相が中国、韓国の考えを変えさせるのに失敗しても、世界の他の国々に首相は誠実だと確信させるから、それによって日本の最も辛辣(しんらつ)な敵対者(中韓)を孤立させることがより容易になるだろう、とも語っている。

(田所秀徳)

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