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長崎式典でも安保法案反対の声 支持率低下で総裁選への影響を指摘する海外報道も

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長崎式典でも安保法案反対の声 支持率低下で総裁選への影響を指摘する海外報道も

 安倍内閣の支持率が低下しており、そのことを取り上げる海外メディアも増えている。このまま支持率が下がり続ければ、9月の自民党総裁選に影響し、首相の座もこの先どうなるか分からなくなる、といった声も一部アナリストから聞かれるようだ。支持率を押し下げている主な要因が安保法案だということで、海外メディアの見解は一致している。9日に長崎で行われた平和祈念式典に関しても、被爆者代表による「平和への誓い」と長崎市長による平和宣言で、安保法案への反対や懸念が表明されたことを主題的に伝える報道が目立った。

◆最初の広島、最後の長崎
 8月9日、70回目の原爆忌を迎えた長崎で、平和祈念式典が開かれた。被爆者や遺族などおよそ6700人のほか、アメリカ、ロシア、中国など核保有国を含む過去最多の75ヶ国の政府関係者が参列した。6日に広島で行われた平和記念式典では中国は欠席していた。

 BBCは、世界の関心が広島に集中し長崎は往々にして忘れられる、と語る。けれども長崎に投下された原爆はプルトニウムを原料として使用し、広島のものよりさらに強力だった、と語っている。

 国連の潘基文事務総長は、式典に寄せたメッセージの中で、「長崎の人々は、世界で核兵器が使われるのは長崎が最後でなければいけないという強いメッセージを送っている」と語った。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、安倍首相が「あいさつ」の中で、非核三原則に言及したことを第一に報じた。広島の式典での「あいさつ」では言及しなかったことで、首相はいくらか批判を受けていた、と語った。

◆長崎の平和祈念式典で海外メディアが注目したのは
 長崎の平和祈念式典について、多くの海外メディアで最も注目を集めたのは、被爆者代表の谷口稜曄(すみてる)さん(86)による「平和への誓い」と長崎市の田上富久市長による平和宣言だった。谷口さんは、安保法案は戦争につながるもので許すことはできない、と首相の面前で語った。田上市長は、日本国憲法の平和の理念が今、揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が(国民の間で)広がっていると語り、政府と国会にこの声に耳を傾け、慎重な審議を行うことを求めた。

 英メディアからの反応が特に大きく、2人の発言を中心に報じている。BBCは、式典での2人のスピーチで、出席した安倍首相は安保政策のことで批判された、と報じた。ガーディアン紙は、被爆者と長崎市長が安倍首相に対し、日本の外交政策における憲法の制約を撤廃する計画の危険性について警告した、と報じた。

 テレグラフ紙は、谷口さんが平和祈念式典の場を用いて安倍首相に、平和憲法の修正は日本を「戦時中の時代に逆戻り」させるものだと警告した、と伝えた。また、安保法案は被爆者の願いに反したものだと警告した、と伝えた。BBCは、谷口さんの話が、式典でおそらく最も説得力のある時だったとの旨を語っている。彼は首相に食ってかかり、観衆からは大きな拍手が湧いたと語っている。

 市長による平和宣言も、大きな拍手で迎えられたとテレグラフ紙は伝えている。WSJは、田上市長は安倍首相が推進する安保法案への遠回しな批判によって、拍手喝さいを受けたと伝えた。

◆支持率低下の原因は、やはり安保法案
 ロイターは、毎日新聞が9日夜に発表した世論調査の結果に注目した。それによると、安倍内閣の支持率は、前回7月の調査から3ポイント減の32%となり、2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、最低となった。ロイターは、安保法案が原因と捉えているようだ。6月に学者らが衆院憲法審査会で安保法案は憲法違反だと語った後、内閣支持率は急速に低下し始めた、と語っている。批判者らは、日本がアメリカ主導の紛争に巻き込まれるかもしれないと危ぶんでいる、と伝える。

 米ニュース専門放送局CNBCも、支持率低下の主要な原因は安保法案だと述べている。最近の大規模な抗議は、安保法案によって全面戦争が引き起こされる可能性があると国民が考えていることを示している、と語る。中国との間にある尖閣問題を考えると、もっともな懸念だとしている。

 長崎市の田上市長は、平和祈念式典でそれらの懸念を表現した、とCNBCは伝える。

 またCNBCは、安倍首相が安保法案を可決させるため、高圧的に進めていることも支持を減らしている理由だとしている。

◆9月に自民党総裁選が迫っている。支持率次第では対立候補も?
 CNBCは、専門家らは現在、安倍首相は支持率低下のせいで首相の座を失うことになるかもしれないと疑っている、と語る。記事の主題はその点にある。英金融グループHSBCのエコノミスト、イズミ・デバリエ氏は6日のレポートで、「安倍首相にとって最も差し迫った問題は、9月の自民党総裁選での再選を確実にすること。(対立候補が立たずに)安倍首相が無投票再選となるかどうかは、首相の支持率が今後数週間、下がり続けるかどうかにかかっている」と語ったという。デバリエ氏によると、支持率がもし30%以下まで下がるようであれば、対立候補が出てきそうだという。

 デバリエ氏は、内閣に対する人々の反感をさらにあおるかもしれない2つの大きなイベントが控えているとして、9月の総裁選までに支持率は回復しそうにないと語っている。むしろさらに低下する恐れがある、としている。そのイベントの一つは、11日に予定されている九州電力川内(せんだい)原発の再稼働である。そしてもう一つは、安保法案の衆議院への差し戻しが実施されそうなことである。この場合、法案は成立するが、法案をめぐる議論を政府が打ち切ったと国民は判断するかもしれず、不満が強まるだろうとデバリエ氏は警告しているという。

 もし対立候補が出るのなら、総裁選の行方も分からなくなる、というのがデバリエ氏の見立てだ。一方、そういった見方には異論があることもCNBCは伝えている。自民党内に張り合う相手がいないため、首相の再選は堅い、との見解を伝えている。

(田所秀徳)

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