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中国、現実路線に転換? 安倍首相演説に対し批判も、韓国とは異なる温度感 米紙指摘

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中国、現実路線に転換? 安倍首相演説に対し批判も、韓国とは異なる温度感 米紙指摘

 29日の安倍首相の米議会演説に対し、中国と韓国が、はっきりとした謝罪がなかったとして非難している。中国外務省は、日本は「心からのおわび」という表現を用いた1995年の“村山談話”を継承すべきだという声明を発表(ウォール・ストリート・ジャーナル紙=WSJ)。韓国外務省も「真の謝罪」がなかったことを「非常に遺憾に思う」とする声明を出した(韓国・聯合ニュース)。

 両国メディアの論調も批判的だ。ただし、これらを分析した欧米メディアの中には、韓国の政府・メディアの論調が強い非難一色なのに対し、中国は比較的控え目だという見方もある。

◆中国は現実路線に転換か
 中国国営新華社通信は、30日付で安倍演説を批判する論説を掲載。演説の「戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。みずからの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない」という一節に対し、日本の戦争責任を覆い隠すようなあいまいな表現だと批判を加えている。そして、「ナショナリスト」である安倍首相は、日本の「極悪でシステマチックな戦争犯罪」を謝罪しなかったと糾弾している。

 安倍首相は、英語で行った演説で、アジア諸国民には“Deep remorse(痛切な反省)”という言葉を、アメリカの戦没者へは“Deep repentance(深い悔悟)” という言葉を向けた。新華社は、アジアに向けた前者の方が軽いと捉えているようだ。米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン氏は、これについて、「キリスト教の伝統におけるrepentanceには、より消極的な表現であるremorseよりも多くの意味が含まれる」と述べている(ブルームバーグ)。

 ブルームバーグは、中国国営英字紙『チャイナ・デイリー』も、「安倍が歴史に対する良心を捨てる』という見出しの下、「戦後の日本が世界に貢献したからといって、歴史を隠蔽する権利が与えられたわけではない」と批判したと報じている。しかし、WSJは「中国は謝罪にこだわりすぎではないか」というSNS上の少数意見などを取り上げつつ、演説に対する中国メディアの反応は「総じて控え目だ」としている。

 これについて、北京大学の国際関係学者、ツー・フェン教授はWSJに次のように答えている。「日本の保守派は、中国は日本を“土下座外交”に縛りつけ続けたがっていると言ってきた。しかし、今、中国の姿勢に非常に明白な変化を感じ取ることができる」。また、同教授はワシントン演説前のインドネシアでの日中首脳会談ついて、「習近平(国家主席)がバンドンで安倍(首相)と握手したのは非常に現実主義な態度だった」と述べ、中国の歴史問題へのスタンスは「国際社会で共有されたもの」へとトーンダウンしつつあるという見方を示している。

◆「嘘つき病の安倍は自ら滅びる」と元慰安婦
 一方の韓国メディアは、相変わらず苛烈な批判を繰り広げている。中央日報は、安倍首相は米議会演説という謝罪の「歴史的な機会を逃した」と批判。「侵略と植民地支配という表現もなく、お詫びという表現もなかった。慰安婦問題には全く触れなかった。日本との戦争で犠牲になった米国人に対しては最大限の礼を尽くして哀悼を表しながらも、日本のために犠牲になった隣国の人々に対する哀悼はなかった」と非難を重ねている。聯合ニュースも「謝罪の望みは全て消え失せた」というオピニオンを掲載した(英紙ガーディアン)。

 慰安婦問題で日本の謝罪を求め続けている日系のマイク・ホンダ下院議員(民主党)の招きで議場で安倍演説を直接聴いた“元慰安婦”のイ・ヨンスさん(86)は、「彼(安倍首相)は、私たち(元慰安婦)が死ぬのを待つことができる。しかし、それでは日本の犯罪を消すことはできない」と、議場入り前に記者団に語った(ブルームバーグ)。イさんは演説を聞いた後、次のようにさらに怒りを爆発させた。「安倍、その嘘つき病、歴史を否定する病気を直さなければ、あなたは自ら滅びるだろう」(中央日報)。

 コリアン・ロビーの強い支持を受けているとされるホンダ議員は、安倍首相が慰安婦に対する「システマチックな残虐行為」への責任を回避したのは「ショッキングで恥ずべきことだ」と批判。同じくカリフォルニア州選出の民主党下院議員、ジュディ・チュー氏も、「責任感と反省なくして前進することは不可能だ」と、安倍演説に強い失望感を表した(ガーディアン)。

◆米では好評、安倍首相の巧みな戦略という見方も
 一方、米議会・オバマ政権の反応については、「概ね好評だった」といった評価が欧米メディアの主流だ。ガーディアンは、安倍首相が「親愛なる友人の皆さん、日本国と日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます」と述べると、議場はスタンディング・オベーションに包まれたと記す。

 ジョー・バイデン副大統領は、この安倍首相の米戦没者に対する態度を「より感謝されるべきもの」と評価。「日本が果たすべき責任を非常に明白にしたと思う」と演説を総括した。また、大統領選出馬経験のあるジョン・マケイン上院議員(共和党)は、安倍演説の戦争関連のコメントを「歴史的な認識」だと賛辞を送った(ガーディアン)。

 米政界や欧米メディアでは、今回の演説の「とこしえの哀悼」「深い悔悟」という表現は、これまで以上の強い反省と謝罪のメッセージだと受け止められているようだ。ブルームバーグは、その背景には、TPP交渉を妥結するために米議会に取り入る戦略があったと分析している。

(Newsphere編集部)

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