自衛隊の海外派遣、法制定で容易化へ 米国のプレッシャーを海外メディア指摘

 政府関係者が明らかにしたところによれば、安倍政権と自民党は、自衛隊の海外派遣をいつでも可能にする恒久法を制定する方針を固め、法案を来春の国会に提出する考えだ。さらには、日本の領海内に外国軍艦が侵入して退去しない場合、首相の判断で自衛隊の出動を可能とする安全保障法制の素案が明らかになったと日経新聞が報道。これを受けて海外メディアは、日中韓の関係悪化や平和憲法を支持する国民からの反発への懸念を示した。

◆「集団的自衛権」の法制化を押し進める安倍氏
 まず、ブルームバーグは、外国軍艦が領海に侵入して退去しない場合、首相の判断で自衛隊が迅速に出動できるよう手続きを見直す政府の動きを伝えた日経新聞の記事を引用。

 また、政府・自民党が、自衛隊の海外派遣への国会での承認手続きを速める新法制定の提案を計画していることを伝える日経の記事も引用して伝えた。

 さらに、安倍晋三首相の集団的自衛権に巡る動きとして、今年の7月に安倍内閣が集団的自衛権の行使のために平和憲法を再解釈し、また12月に発足した第3次安倍内閣では、集団的自衛権関連法案の可決に向けて、元自衛官の中谷元氏を防衛大臣にを指名したことを伝え、安倍氏が集団的自衛権の法制化に向けて着々と歩みを進めていることを示した。

◆アメリカのプレッシャーによる自衛隊の役割拡大
 英デイリー・メール紙は、今回の動きをAFPの「日本が自衛隊の海外派遣のスピードを速める法案を計画」と題した記事を掲載して伝えた。

 その中で、自衛隊の国際情勢における役割の漸進的な拡大は、アメリカのプレッシャーによるものとしている。

 ロシアの国有通信社ノーボスチから国際情報局として新たに開設されたスプートニクも、AFPが示したとして、アメリカは太平洋地域での最重要同盟国としての支援が不十分だと見ているようで、日本政府に軍事的な即応能力を強化するようにプレッシャーをかけていると述べた。

◆自衛隊の役割拡大に反発を示す中韓、そして日本の世論
 さらにデイリー・メール紙は、安倍氏や自民党の憲法改正への望みが国内を分裂させ、国外では日本の歴史認識に反発を示す中国との緊張悪化を招くと述べている。

 スプートニクも、アメリカからのプレッシャーと、日本のあらゆる軍事計画に疑念を抱く中国と韓国からの激しい非難に板挟みになった日本の現状を指摘。さらに、国内から、日本の戦争放棄を明記した憲法9条と矛盾するため、自衛隊の国際情勢での軍事的な関与の増加は激しい非難を受けそうだと指摘した。

Text by NewSphere 編集部