EU、日本にビール輸入規制緩和を要求 EPA交渉撤退を示唆、強硬姿勢の背景とは

 世界的に経済が停滞している現在、各国は自由貿易に経済活性化の活路を見出そうとしている。日本と欧州連合(EU)は貿易自由化に向けた交渉を進めており、来月12月に8回目の会合を行う。それを控え、EU側が日本に対してビールに関する規制を見直すよう働きかけることが明記されたEU文書をロイターが入手し、内容を報じている。

◆ビールが交渉の行方を握るのか?
 EUと日本の経済連携協定(EPA)交渉は2013年4月に始まり、2015年末の協定締結を目指している。締結されると、両地域の経済生産がおよそ1%上昇すると推測されている。

 8回目の交渉が12月8日に行われるが、その交渉でEUはアルコール飲料の輸入に関する規制の変更を求める予定だ。さらに、ビールの構成成分に関する定義についても変更を求めるという。EU文書にも、「ビールに関しては、貿易への影響が大きい」と明記され、さらに、満足な回答が得られない場合は、交渉から手を引くとしており、日本に強く迫る姿勢だ。

 日本のビール市場は、世界3位を誇る規模だが、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーといた国内メーカーによって支配されている。ヨーロッパのメーカーは、数社が合弁会社として現地生産を許されているにすぎない。また、製品要件が厳しいため、ほとんどのヨーロッパ産ビールは日本市場でビールとして販売されていない。理由として、日本の製品要件は麦芽含有に関する規定が厳しく、また、コリンアンダーの種子はベルギーやドイツの小麦ビールでは柑橘系の風味を出すために使用されているが、これが禁じられているためとロイターはEU文書から引用している。

◆交渉中の自由貿易協定
 EU側の強硬姿勢について、CNBCは現在世界を取り巻く、停滞した景気状況とあわせて説明している。これまで各国は国内経済を刺激して景気停滞からの脱却を模索してきたが、それだけでは成果が表れず、貿易を活性化させて、景気回復を試みようとしている。そのため、各国は自由貿易協定の締結を目指して交渉を続けている。

 アメリカは、参加12か国からなる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の締結を目指し、中国は、TPPには参加せず、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の締結を目指し、交渉を推し進めている。また、欧州連合(EU)は日本と自由貿易協定に向けた交渉を行っている。

 日本政府がどこまで譲歩するのかが、協定締結の鍵となる。予想外の悪い経済成長率が発表されたばかり。安倍政権はどのような交渉を行うのだろうか。

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Text by NewSphere 編集部