昭恵夫人、“友人にしたい”など海外で好評 安倍首相のイメージアップにも貢献

 安倍晋三首相の夫人、昭恵さんは、旺盛に社会活動を行い、居酒屋を経営し、Facebookなどを通じて自ら発信し、時には首相が推進する政策に公然と反対を唱えている。その活躍ぶりと人柄は、新しいファーストレディー像を成すものとして、海外メディアで話題となっている。

【昭恵さんの親しみやすさが、首相のイメージアップに貢献?】
 昭恵さんは気さくで親しみやすく、大部分の人が友人に欲しいと思うようなタイプだろう、とワシントン・ポスト紙は人物評を下している。日本酒が大好きで、居酒屋も経営している。店では、夫の選挙区である山口県下関市で自ら育てている無農薬のお米「昭恵米」を提供している、と記事は紹介する。昭恵さんのFacebookや公式サイトのプロフィール写真は、田んぼで農作業をしている姿だ。

 安倍首相がプライベートでくつろいでいる姿の写真を、昭恵さんは時折、Facebookに投稿している。ワシントン・ポスト紙はその中から、首相がアイスクリームを食べている写真や、自宅と思しき場所で、満面の笑みを浮かべている写真をピックアップしている。厳しい印象がある首相の、こうしたソフトな一面を明らかにすることは、首相のイメージアップにつながっているようだ。昭恵さんは首相にとって、ますます秘密兵器になりつつある、と記事は語る。

 上智大学国際教養学部の中野晃一教授(政治学)は、「もしも昭恵さんがいなかったら、首相は、特権階級の出自で、非常に強硬な、右派の見解を持つ人物、単に頑固な保守派だという印象を、きっと与えていたと思います」と、同紙に語っている。記事は、昭恵さんのメディアへの露出は、安倍首相のイメージ戦略ではないかといぶかっているが、本人は否定していることを紹介している。

【昭恵さんと首相の見解の相違が、公開の席上で明らかに?】
 ウォール・ストリート・ジャーナル「日本リアルタイム」は、9月12・13日に東京で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」の、公開フォーラムでの、昭恵さんの発言を紹介している。このシンポジウムは、政府、日本経団連、日経新聞などが共催したものだ。

 記事はまず、昭恵さんが、原発再稼働や防潮堤建設などの問題で、首相とは対立する立場をあらわにしていることを紹介する。昭恵さん自身はそのことについて、「総理大臣は、自身や所属政党と意見を同じくする人たちだけの代表ではない。対立する意見を持つ人たちの声を伝えたいと思っています」とシンポジウムで語った。また、聴衆に対して、自分は夫の姿勢を変えようとしているわけではない、と請け合った。

 それに対して安倍首相は、同じ席で、「銘記していただきたいのは、昭恵は、わたしはさまざまな意見に耳を傾けるべきだと言っていますが、それはわたしが国会で一日中していることでして、家に帰ってからもさらに異論が述べられるのです。それに、昭恵は、わたしの考えを変えようとはしていない、と言っていますが、これは明らかに事実と異なることです。けっこう議論になります」と、冗談めかして反論したことを、記事は伝えている。

【昭恵さんは「ウィメノミクス」の体現者?】
 昭恵さんは、いくつかの論点については「家庭内野党」だが、首相の政策のうち、「ウィメノミクス」については、非常に熱心な支持者であるとAP通信は伝えている。この政策は、女性の社会進出、労働力人口への参加を促し、「女性が輝く社会」を実現するというもので、安倍政権の最重要課題の一つであるとされている。上述のシンポジウムも、その取組の一環として開催されたものだ。

 昭恵さんによると、昭恵さんのスケジュールがとても多忙なので、夫である首相は、ときどき皿洗いをしたり、ごみを出したりしなければならないそうだ(他2紙によると洗濯も)。昭恵さんは、日本の女性の社会進出には、こうした柔軟性が必要とされる、と語っている。

 また昭恵さんは、女性の職業人としてのキャリアは、子育てなどによってしばしば中断させられるが、そこから職に戻ることができるような柔軟性が、社会的に認められることが重要だと語っている。

 ワシントン・ポスト紙は、首相が昭恵さんを、「ウィメノミクス」の先頭に立つべく世に送り出している、と語っている。しかし順序としては、首相は、活躍する昭恵さんの姿を見て、「ウィメノミクス」の着想を得たのかもしれない。

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Text by NewSphere 編集部