日本、金融・資源分野で対ロ制裁か これまでの制裁は“象徴的なもの”とロシア国営通信

プーチン大統領

 日本政府は19日、ウクライナ情勢をめぐりロシアに対し追加制裁を発表するという。共同通信が外交筋の情報として報じた。

 世耕弘成官房副長官は前日の記者会見で、追加制裁について「ウクライナ情勢やアメリカ、EU(欧州連合)の動向を踏まえ、適切に対応する」と語っていた。

【金融、エネルギー部門で初の対ロ制裁】
 日本政府は4月、ロシア政府当局者ら23人に対し、ウクライナの不安定化に関与した疑いがあるとして、ビザ発給を停止し、日本国内の資産を凍結した。8月初めには、さらにロシア政府当局者ら40人と2団体に同様の制裁を課した。

 今回の追加制裁では制裁対象のリストを拡大する、と共同通信は報じている。またアメリカやEUにならい、金融やエネルギー部門での制裁にも初めて踏み込むという。

 ロシア国営のイタルタス通信は、日本は16日の国家安全保障会議での協議を経て、G7のメンバーとしてアメリカ、EUと足並みをそろえ、新たな対ロ制裁を行うと報じた。

【ロシアと欧米とのバランス外交は続行】
 これまで日本はロシアとの安定した関係維持と、欧米パートナーの動向のバランスを考慮してきた。

 ロシア国営のRIAノーボスチ通信は、ロシアの大手団体を対象としていないこれまでの制裁は「象徴的なもの」との見方が主流だと報じている。

 今回の追加制裁も、北方領土をめぐるロシアとの二国間交渉への悪影響を最小限にするため、「限定的なもの」となると、共同通信は報じている。

【ロシア対EU、WTO規則違反はどっちか?】
 一方、ロシアのプーチン大統領は18日、「アメリカやEUの制裁はWTO(世界貿易機関)の原則に反する」と批判した。

 ロシアは、西側諸国の制裁への対抗措置として、西側からの農産物の輸入を禁止している。

 ポーランドのマレック・サヴィツキ農業相は「これは国際法に違反している」と述べ、措置を講じるとした。

 WTOの専門家、エリック・ピケット氏はドイツメディア「ドイチェ・ヴェレ(DW)」に対し、「WTO加盟国が、別の加盟国がWTO規則に準拠しない措置をとったとみなせば、影響を受けた加盟国は調停を要請する」と語ったという。

 同メディアは、ポーランドの対ロ措置は実施されるだろうと報じている。

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Text by NewSphere 編集部