日韓「雪解け」の兆し? 韓国外相、イベント出席で示唆 慰安婦問題解決が先との報道も

 韓国と日本が文化交流を深める恒例イベント「韓日交流おまつり2014 in Seoul」が14日、ソウルのCOEX展示場で開かれ、過去最多となる約5万人が来場した。

 このイベントは、国交正常化40周年を記念する「韓日友情年」の2005年に始まり、両国の市民らがボランティアとして多数参加する最大の文化交流イベントとして定着している。

 同イベントには、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が出席し、別所浩郞駐韓日本大使との初会談が行われ、海外からも大きな注目が集まった。

【ティータイム会談】
 尹氏は、COEXのVIPルームで別所大使とティータイムを持った、と中央日報は報道している。両氏は、「来年の国交正常化50周年を控え、韓日関係全般が改善される必要がある」という意見で一致したという。

 尹氏はまた、「この種の文化交流が増えれば、両国民だけでなく、両国政府関係も親密になる」と述べた、と『Inside Korea』は報じている。韓国は両国の文化交流を積極的に進めると同時に、他分野での協力にも全力を尽くすとし、日韓関係改善への意欲をにおわせた。

【雪解けの兆し】
 今回のサプライズ会談は、韓国側の態度の変化を示している、と『Korean Herald』は指摘している。歴史問題が過熱した昨年、韓国の外相は、日本側からの同イベント招待を冷たく拒絶していた。

 両国の和解の兆しは他にも見られる。韓国、日本、中国の外務次官補級会議が行われた先週、外相会談と首脳会談の実現に向け、3ヶ国が努力することが合意された。今月の国連総会の際、外相会談が行われるかもしれない、と同紙は予測している。

 韓国側の変化の背景には、朴槿恵(パク・クネ)政権が2年目に入り、強みである外交と安全保障で功績を残すように、という圧力があると同紙は指摘する。一方、外務省局長級会議では、韓国は慰安婦問題に対する具体的で実行可能な解決策を要求している。韓国政府高官は「韓国は(関係修復)という分を果たすが、慰安婦問題の解決が先決」と述べた、と同紙は報道している。

【韓日協力は経済的にも有利】
 日本との関係強化は、韓国にとって経済的に有利であると専門家は指摘する。東アジア経済専門家である早稲田大学の深川由起子教授は、中国経済を楽観的に見て中国の未来に多くを賭けている韓国に警鐘を鳴らした。同教授は「現在の中国は成長率が低くなり不動産市場も危険」と述べた、と9月16日付の中央日報は報じている。

  韓国と日本は、急速な高齢化社会を迎えるという共通点もある。同教授は、12日にソウルで行われた講演会で、「医療・福祉事業の分野で、韓国と日本が協力して市場規模も増やしシナジー効果を出すのが最も望ましい」と韓日経済協力を強調した。

「韓日交流おまつり」は、日本では今月27日から28日、東京の日比谷公園で行われる。

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Text by NewSphere 編集部