安倍内閣改造 “親中派”登用に英紙注目 APECでの首脳会談実現に期待

 3日、安倍首相は、第2次政権発足後初の内閣改造を行い、女性閣僚5人を含む新内閣が発足した。海外メディアは女性登用を大々的に報じる反面、保守色が強い点を指摘。自民党役員人事にも注目している。

【女性票を意識?】
 ニューヨーク・タイムズ紙は、女性閣僚5人誕生のニュースに、日本女性の社会進出のペースが依然として遅いことを絡めて報じている。

 アメリカのリサーチ会社、GovernanceMetrics Intl.によれば、日本企業における女性役員は1%以下で、アメリカの11.4%、ドイツの9%に比べ、先進国では最低ランク。政治においても、国連の調査によれば、国政レベルで日本の女性議員はわずか8.1%で、アメリカの18.3%の半分以下だ(ニューヨーク・タイムズ紙)。

 女性が職場の花と呼ばれ、事務やお茶くみ、来客への応対ばかりが仕事だった時代に比べれば、今は多くの日本女性が若いうちにチャンスを与えられている。しかし、いまだに多くの障壁があり、キャリアを求めるか、子供を持つかという硬直した選択に直面せざるを得ないのが現状だ(ニューヨーク・タイムズ紙)。

 同紙は、女性の労働力活用による日本再生を唱える安倍首相は、集団的自衛権の問題等で、女性からの支持を減らしていると指摘。今回の内閣改造で、女性有権者向けの新たなジェスチャーを行う、政治的必要性があったのだろうと述べている。

【閣僚は保守的】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、ベテランを飛越し女性5人を登用することは、明らかに序列にうるさい自民党内から不満が出る選択であったが、女性の就労機会の改善を経済再生戦略の柱とした自身のリーダーシップを見せるため、安倍首相がやらざるを得ないと感じた選択でもあった、というアナリストの言葉を紹介している。

 しかし、選ばれた女性閣僚たちが、西洋のリベラル・フェミニストたちと間違われることはほぼないと、同紙は指摘する。例えば、マクドナルドの人事部で働きながら大学院で学んだ経歴を持ち、女性活躍担当大臣に任命された有村氏は、男性だけに皇位継承権があるという日本の皇室制度を変えることに反対。男女別姓に反対の保守的な団体、『日本会議』に所属していると述べる。

 同紙は、新内閣メンバーのほとんどは、『日本会議』か、その他の伝統主義、愛国主義的主張を奨励する団体に属すとし、一部の閣僚が『みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会』のメンバーであるとも伝えている。

【日中関係を見据えて】
 ガーディアン紙は、安倍首相が中国との関係修復を目指し、親中派とされる谷垣氏、二階氏の2人をそれぞれ自民党幹事長、総務会長に起用したことに注目している。

 同紙は、両氏の指名で、この秋北京で行われるAPECでの初の日中首脳会談設定への努力が、さらに進むかもしれないと述べている。

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Text by NewSphere 編集部