“有言実行” 安倍新内閣、女性5人を登用 発表前から海外メディアも注目

 第2次安倍改造内閣の顔ぶれが3日、決まった。注目の女性閣僚は過去最多に並ぶ5人となった。ロイター、ブルームバーグなどの海外メディアは、女性の積極登用を含むアベノミクスの成否を占う人事に注目している。

【安倍首相の「有言実行」は?】
 閣僚名簿は、3日午後、留任となった菅義偉官房長官が発表した。18人のうち、留任は麻生太郎副総理・財務・金融相、岸田文雄外相ら5人。初入閣は西川公也農水相、江渡聡徳防衛・安全保障法制担当相ら8人となった。女性は、高市早苗総務相、松島みどり法務相(初)、小渕優子経産相、山谷えり子国家公安・拉致問題担当相(初)、有村治子女性活躍担当相(初)。

 安倍首相が経済再生策の中心に女性の労働機会の拡大を挙げていることから、海外メディアも発表前から内閣改造での「有言実行ぶり」に注目していた。ロイターは「日本の女性管理職の比率を2020年までに30%に引き上げる」というアベノミクスの目標を持ち出し、これを自ら率先してやってみせるためには「18人の閣僚ポストのうち、最低5人は女性を指名しなくてはならない」と、内閣改造の関連記事に記していた。

【小渕氏の経産相就任は「社会へのメッセージ」】
 ブルームバーグは、閣僚名簿の発表前に、経産大臣になった小渕優子氏と、小池百合子元防衛・環境相、入閣が取りざたされていた上川陽子前総務副大臣にインタビューを行った。その中で小渕氏は、女性が財務、経産の大臣ポストに就いたことがないことを挙げ、「もし、これらの主要ポストに女性が就けば、社会へのメッセージになる」と語っていた。今回は、それを自らの経産相就任で実行する形となったわけだ。

 小池氏は、内閣改造直前段階での安部総理の女性登用政策を、10点満点中5点と評価した。そして、女性閣僚の増加を見越しつつも、「多くの怒れる男性たちが現れるかもしれない」と先行きに懸念を示した。上川氏も、女性閣僚の積極登用を「一時的なもので終わらせるようならば、結局は後退する」と釘を刺した。

 一方、小渕氏は同じインタビューで「首相は女性の登用に大変熱心に取り組んでいる。流れは変わりつつあり、日本に女性総理が誕生するのも遠い未来のことではないかもしれない」と発言。同メディアは、月刊誌『SAPIO』が、8月号で小渕氏を「次の次の総理」と書いたことを強調している。

【塩崎厚労相の年金改革に期待】
 塩崎恭久元官房長官の厚労相就任も注目を集めている。ブルームバーグは塩崎氏を「年金積立金改革の提唱者」と表現。元日銀勤務のキャリアを生かし、アベノミクスの構造改革の旗手として、特に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革に乗り出すだろう、としている。

 安全保障担当相の打診を固辞した石破茂前幹事長は、結局新設の地方創生担当相に就任した。ロイターは石破氏を、来年の自民党総裁選での安倍首相の「潜在的ライバル」と表現。ブルームバーグは、「党内の最大のライバルを内閣から外すのは、総裁選に向けて得策ではない」と、入閣は政局的な理由だとしている。

女性が活きる成長戦略のヒントvol.1 20/30(にぃまる・さんまる)プロジェクト。 (女性が活きる成長戦略のヒント vol. 1) [Amazon]

Text by NewSphere 編集部