モディ印首相、“訪日が楽しみ”と日本語ツイート 安倍首相も歓迎ツイート、現地紙が期待

 インドのナレンドラ・モディ首相は28日、ツイッターにて、日本語でつぶやいた。30日からの訪日を「とても楽しみにしている」と述べた。さらに、「私が特に心待ちにしているのは、安倍首相にお会いすることだ」とも表明。両首相の良好な関係が明らかとなった。

 日印は、民主主義国家、経済発展を重視、中国の脅威を懸念という共通点を持つ。今回の訪日をきっかけにさらなる関係強化ができるのか、海外メディアが注目している。

【日本語で異例のつぶやき】
 インドの英字新聞『ザ・ヒンドゥー』紙によると、モディ首相の日本の友人が、日本国民に直接日本語で語りかけて欲しいと頼んだのがきっかけで、今回のつぶやきが実現した。モディ首相は、以前来日した経験から、日本の「もてなしの心」やイノベーション性を評価している。そのうえで、「日本との関係を新たなレベルへと高め、様々な分野における協力を増進する機会と見ている」と、訪日への意気込みを見せた。

 日本語のツイートはすぐに反響を呼び、フォロワ―は600万人近くに上った。モディ首相は情報発信にソーシャルメディアを多用することで知られているが、日本語のつぶやきは異例だった。当初はハッカーのしわざを疑う声もあった、と『ザ・ヒンドゥー』紙は報じている。インド人からの反応がほとんどだったが、日本人が参加するコミュニティーなどで、首相の努力に感謝する、との声が上がったという。

【安倍首相も返信】
 モディ首相のつぶやきに対し、安倍首相は英語で歓迎のツイートを返している。今回の訪日について、両国関係の新たな一章となる、などとつぶやいている。

 なお安倍首相がフォローしているアカウントは3人のみで、モディ首相はその内の一人だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)は、親密なツイートのやりとりは、アジア第2と第3の経済大国の強固な絆を表している、と報じた。

【両国の思惑は】
 インド外務省当局者は非公式に、モディ首相は安倍首相と、景気回復の手段、防衛・エネルギー面における協力について協議する意向だと述べた(ブルームバーグ)。エネルギー面での協力については、原子力発電についての日本の支持を得たいと見られ、原子力協定の交渉進展に期待している(『The Indian Republic』)。原子力関連技術を核保有国であるインドに輸出することに対する、日本側の懸念を払拭したい考えだ。

 両国とも、中国との領土問題を抱えている。2012年に就任以降、安倍首相は東シナ海において中国をけん制する戦略の一環として、防御面、経済面でのインドとの関係強化を図ってきた。ブルームバーグによると、ニューデリーの政策研究センターのブラーマ・チェラニー教授は、日本とインドの関係はアジアの力関係を変えるカギとなる、と指摘する。教授は「北京にとっては望ましくない事態で、どんな手段を講じても阻止しようとするだろう」と、日印関係強化を中国が警戒していることを示唆した。

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Text by NewSphere 編集部