日本、米にリニア技術を無償提供へ 安倍首相、ケネディ大使と試乗で「乗り心地をホワイトハウスに伝えて」

 安倍首相は12日、山梨県で、ケネディ駐日アメリカ大使と、JR東海のリニア実験線に試乗した。なお24日に予定される日米首脳会談において、日本のリニア新幹線のアメリカへの導入が検討されるものと思われる。

 一行は、片道42.8kmの実験線を往復し、時速約500kmの走行を体験した。リニアがスピードを上げて浮上すると、ケネディ氏は「ワオ」と声を上げたという。

【経緯と感想】
 共同通信によれば、安倍首相は昨年2月、オバマ米大統領との会談でリニア技術導入を提案した経緯がある。今回、トップセールスという形で、ケネディ大使を試乗に誘ったのだ。

 今回の視察には、首都ワシントンなど北東部の都市を結ぶ鉄道へのリニア技術導入を目指す、米プロモーション会社「TNEM」のロジャース会長兼最高経営責任者(CEO)も同行したという。

 AFPによると、安倍首相は試乗後の懇談でケネディ氏に、「ぜひ今日の乗り心地をホワイトハウスに伝えていただきたい」と求めた。ケネディ大使は「本当に素晴らしい乗り心地、技術だった。米国にも恩恵を与えてくれることを期待したい」と応じたという。

 共同通信によれば、安倍首相は記者団に対して「日本の技術を世界に提供していきたい。特に同盟国である米国には活用してもらいたい」と語ったという。

【ライセンス料は無料】
 AFPによると、日本は海外からのリニア新幹線の受注を狙っているが、カナダ、フランス、ドイツの大手メーカーとの競合は避けられないという。

 AFPは、JR東海がアメリカに超電導リニア新幹線を売り込むにあたり、技術ライセンス料を求めない方針であるとの日経の報道を紹介していている。

 アメリカ政府は、東部のワシントンとボルティモアを高速鉄道で結ぶ構想を持っている。日経によれば、約1兆円が見込まれる総工費についても、半分を日本政府が国際協力銀行経由で融資する方針で、技術と資金の両面から負担を軽くし導入しやすくするという。

【日本のリニアプロジェクト】
 AFPによれば、JR東海は従来型よりも速く、滑らかで静かな走りを実現したリニア新幹線を、2027年には東京・名古屋間に導入したい考えだ。さらに2045年には現在2時間以上かかっている東京・大阪間をわずか67分で結ぶ計画だという。

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Text by NewSphere 編集部