中国、ロシアに“北方領土と尖閣を互いに認める”提案か 安倍首相の次の一手は?

 安倍首相はソチで開催されている冬季オリンピックの開会式に出席した後、8日にプーチン大統領と会談を行う予定である。2012年12月に安倍首相が就任して以来、日ロ首脳会談はこれで5回目だ。

 安倍首相は今週、「プーチン大統領との信頼関係を深めつつロシアとの協力をあらゆる分野で進め、日ロ関係を全体として高めることによって、今後の平和条約締結交渉の前進を図っていきたい」と述べていた。

【日ロ最大の懸案事項】
 問題となっている北方領土(ロシアでは南クリル諸島)は、第2次世界大戦終了時にソビエト軍が掌握したものだと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)は報じる。日本が北方領土の返還こそ平和条約締結の条件だとする一方で、ロシアは戦争の結果としての合法的な領土権を主張している。

 しかし、安倍首相が日本の首相としてこの10年で初めてモスクワを訪れて以降、日ロ首脳の言動は大きく軟化している、とウォール紙は伝える。昨年11月には初めて日ロ外務・防衛担当閣僚級協議(2プラス2)を開き、平和条約を締結していない2カ国間としては異例の動きを見せたのだ。

【中国の習主席もいちはやくプーチン大統領と会談】
 一方、中国の習近平国家主席は6日、オリンピック開会式前日のソチに到着し、プーチン大統領と会談した。ウォール紙によれば、中国の国家主席が、他国で行われるオリンピックの開会式に出席するのは初めてである。中国外務省は1月の記者会見で、日本の安倍首相の言動が地域の緊張を高めている中、習主席とプーチン大統領は第2次大戦の歴史およびアジア太平洋の安全保障問題について突っ込んだ意見交換を行うに違いないと述べていた。会談の詳細は明らかにされていない。

 だが、中ロ関係についてAFPは、6日の毎日新聞による報道を紹介している。日露外交筋によると、中国がロシアに対し、従来日本領と位置づけてきた北方領土の領有を承認する代わりに、沖縄県の尖閣諸島を「自国領」とする中国の主張を支持するよう、水面下で打診しているというのだ。働きかけは2010年に始まり、現在も続いているとみられるが、極東開発に日本の協力を求めるロシアは、中国の提案に応じない構えだ、と毎日は報じている。

【日ロ首脳交渉で急進展はあるか】
 ウォール紙によれば、菅官房長官は4日、日ロ両首脳の「信頼関係を構築していくのがまず大事」と述べている。プーチン大統領も年内の訪日を予定しているという。今後の会談や近い将来に実質的な進歩が見られると考える向きは少ない、と同紙は述べている。

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Text by NewSphere 編集部