“脱原発”細川氏、権限ないのになぜ都知事? 説明なき会見に海外紙が疑問呈する

 22日、細川護煕元首相が都知事選への出馬会見を行い、原発再稼働反対を主張した。いまだ人気の衰えない小泉元首相をバックにつけ、知事選を国のエネルギー政策を問う国民投票に変えんばかりの勢いに、安倍政権も警戒感を高めている。

 海外各紙は細川氏の会見を受けて、選挙戦について報じている。

【鍵は小泉氏?反原発有権者を取り込めるか】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「核のゴミを捨てる場所がないのに原発再稼働とは、次の世代への犯罪行為だ」というコメントを紹介し、細川氏がいかなる原発再稼働、原子力推進への呼びかけにも反対で、小泉元首相のサポートを受け、反原発有権者を取り込もうとしている、と報じている。

 一方、自民党が支援するライバル候補者の舛添要一氏は「エネルギー問題は無視できないが、原子力政策だけが東京が直面する問題ではない」として、原子力については段階的縮小を唱えている。

 同紙によれば、与党自民党と政府の役人は、小泉氏の関与に頭を痛めている。彼のようなメディア知識のある政治家がスポットライトを独り占めし、無党派層の多い東京の1,300万人の有権者の反原発感情をかきたてるのでは、と警戒しているという。

 ロイターは、原発再稼働を進めたい安倍政権にとって、細川氏の勝利は打撃になるとし、「安倍首相の候補者が小泉氏によって負ければ、首相のできることが制約され、アベノミクスを徐々に弱めることになる」というメリルリンチ日本証券の山田修輔氏のコメントを紹介している。

【脱原発でも、原発ゼロのロードマップは示されず】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の日本ニュース・ブログ、日本リアルタイムは、「細川氏の漠然とした原発ゼロ・ロードマップ」と見出しをつけ、会見では、原発立地県ではない東京都の知事が、どのように中央政府の政策をひっくり返すのかという点には触れられなかったと述べた。さらに、原子力なしでどうやって日本で一番エネルギー消費の旺盛な東京都を動かしていくのだと問われても、その場で説明はなかったという。

 また、ロイターは、細川氏の出馬は、反原発感情の取り込みに繋がるかもしれないが、彼が国の政策をどうやって揺さぶるのかがはっきりしないとし、76歳という年齢や、20年前の突然の辞任も反対票につながるかもしれないと述べた。

【民意はエネルギー政策にあらず】
 選挙の争点に関し、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、東京新聞の1月10日から12日の世論調査の結果を紹介している。それによれば、1,012人の回答者のうち64.7%が原発廃止に賛成だった。しかし、選挙で何を重視するかでは、医療と教育問題がエネルギー政策を上回ったという。

 日本リアルタイムも、この世論調査の結果を受け、細川氏の戦略が2週間のヘビーな選挙戦を持ちこたえられるのかどうか今は分からないとし、教育、医療が原子力よりも都民の優先事項であることを踏まえれば、元首相には埋めるべき穴があるのかもしれない、と締めくくっている。

細川護煕「閑居に生きる」

Text by NewSphere 編集部