強気で突き進む安倍首相、次の目標は集団的自衛権か? 海外識者の分析とは

 日本は、平和主義を規定した憲法第9条によって、集団的自衛権の行使が制限されている。その状態で、主権を守ることはできるのだろうか、と英エコノミスト誌が疑問を投げかけている。

 例えば、中国が尖閣諸島に兵士を上陸させた場合、現在の法のもとでは、日本が軍事力で対処することは難しいと指摘している。

【憲法第9条をめぐる国内外の反応】
 安倍政権は憲法改正に取り掛かろうとしている。焦点は、憲法第9条で禁止されている、集団的自衛権の行使を可能にするかということだ。可能になれば、アメリカなど同盟国との協力体制が強化される。一方、同盟国が戦争した場合、日本もその戦争に参戦することになりかねない。これが国内外で論争を巻き起こしている。

 中国や韓国は警戒を隠さないが、アメリカは基本的に支持する姿勢といえる。

【靖国神社参拝 各国の反応】
 こうした中、昨年12月26日に、安倍首相は靖国神社を参拝した。中国、韓国はそろって参拝を非難。アメリカも(近隣諸国との関係悪化に対し)「失望」を表明した。

 同誌は、実際に日本が軍事国家になることはありえないとしつつ、占領下におかれた歴史的経緯から、中国と韓国は、日本のこうした動きを強く警戒しているとみている。

【靖国神社参拝から伺える首相の決意】
 一方、ハフィントン・ポスト(米国版)への寄稿文の中で、「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」(fpif.org) 共同代表のジョン・フェファー氏は、今回の靖国神社参拝には、首相の決意が表れている、と述べている。

 その決意とは、同盟国や敵対国の顔色を窺わない外交政策、国内政策では強行的な手段も辞さないというものだと分析している。沖縄に莫大な経済支援をちらつかせて、普天間基地移設問題に一応の決着をつけたのは、その表れだという。

【日本のあるべき姿とは】
 安倍首相は、過去を振り返らず、日本のあるべき姿を求め突き進んでいる、とエコノミスト誌は分析している。首相が描く日本のあるべき姿とは、防衛活動を自由に行い、世界の危険地域の安定化に貢献するものだという。

 日本が自衛隊の活動の場を広げられれば、同盟国から重要な責務を任され、同盟関係は強化されるだろうとも述べている。そしてそれは、大戦で残した傷を払拭できるのではないかと分析している。

愛国・革命・民主:日本史から世界を考える (筑摩選書)

Text by NewSphere 編集部