中国影響下のミャンマーにどこまで食い込めるか? 日本、100億円支援へ

 6日、沼田幹男・駐ミャンマー大使と笹川陽平・日本財団会長はミャンマー・ヤンゴンで記者会見し、日本政府が今後5年間に100億円の少数民族支援を行うと明らかにした。タイのバンコク・ポスト紙も、日本政府筋から4日の段階で同様の情報が得られていたと報じていた。

【少数民族支援策、反乱防げるか】
 ミャンマーでは数十年来、辺境の密林地帯を中心に各民族の反政府ゲリラが活発に活動し、多くの難民が発生してきた。各民族と個別の停戦協定はしばしば締結されるが一時的なものにしかならず、毎月のように紛争が再発しているという。全国一斉停戦をめざし、政府・軍・ほとんどの民族反乱軍が一堂に会して期待された11月の交渉も、反乱兵の正規軍吸収など微妙な問題について条件が折り合わなかった模様だ。

 今回の支援は、少数民族の生活水準を向上させることでこうした反乱の動機を減らそうとする初の試みだと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。政府側・民族側双方の承認の上で、まずは食料や住居の提供を重視し、続いて道路、学校、病院、その他雇用創出につながるインフラ構築に移るという。

【ミャンマーを重視する安倍政権】
 日本は安倍政権発足後の1年ですでに1500億円以上の支援を打ち出しており、昨年ミャンマー最大の人道援助国であった。加えて約3000億円規模の債権放棄も行っている。さらに、日本企業はミャンマーの開発プロジェクトへの投資にも「熱狂的」だと、ウォール紙は表現している。

 日本財団は否定しているが、同紙は日本政府のミャンマー支援の意図として、中国への対抗や、現地で活動する日本企業への便宜を挙げている。

 長い国境を接することもあって、ミャンマーは元々中国の影響圏内にあり、停戦交渉においても中国が外交官を派遣するなど、存在感を誇ってきた。そこへ日本が食い込んで行く形になる。

 またミャンマーはスズ、天然ガス、ヒスイといった天然資源が豊富で、「名目上」文民化されたミャンマー政府も西側諸国への売り込みを図ってきた。現地の政情が安定することは投資側にとって、こうした資源へのアクセスが容易になることを意味するという。

Text by NewSphere 編集部