中国問題を「巧みに利用」 安倍首相の外交・安保政策を英紙が分析

安倍首相

 政権発足から1年が迫る中、安倍首相の外交・安保政策に海外メディアが注目している。

【2016年の選挙を見据え、安倍首相にとって来年が正念場】
 11月、安倍政権は「国家安全保障会議(日本版NSC)」設置法を成立させた。17日には、初の「国家安全保障戦略(NSS)」を閣議決定。「積極的平和主義」を基本理念とした。各紙は、2014年には集団的自衛権の解禁を見据えていると報じている。

 ロイターによると、右肩上がりだった安倍首相の支持率は、6日の「特定秘密保護法」成立後、先月の68.5%から50%へ低下した。ただ皮肉なことに、世論の支持低下と消費税増税への懸念により、安倍首相はより積極的にこの種の改革に取り組むだろう、と複数の専門家はみているという。安倍首相にとって2014年が政策実現のための最後の勝負どころとなる、との声もある。

【中国問題を巧みに利用した安倍首相の政策とは】
 英ガーディアン紙は、安倍政権の基本姿勢について、9月の国連総会でも語った「積極的平和主義」を基軸に、中国の「力による現状変更の試み」には毅然として対応するものと報じている。また、近隣諸国の支持を得るために、中国問題を「巧みに利用している」ともみている。

 安倍首相は、就任以来ASEAN全10ヶ国を訪問しており、先週末には日本・ASEAN関係40周年を記念する特別首脳会議を東京で開催。会議冒頭で安倍首相は、「共に、力ではなく法が支配し、努力した者が報われる繁栄した経済社会を作りたい」と述べ、名指しは避けつつも中国をけん制する姿勢をみせた。

 11月には、フィリピンの超大型台風被害救援のため、1945年以来最大の海外自衛隊派遣を命じた。これは中国の裏をかいたと同紙は報じている。

【安倍首相は軍国主義者か、改革派か?】
 また同紙は、東京大学の高原明生教授による「(安倍首相は)本質的に歴史修正主義で、新ナショナリスト」との見解を紹介。一方、安倍首相と個人的なつき合いのある元駐英大使の野上義二氏は、愛国保守派だが、右翼でないと否定したと報じた。

 なお同紙は、1期目の失敗を繰り返さないよう、安倍首相は2015年まで慎重路線を貫くつもりだろうと論じた。ただ、不自然な現状がこのまま続く可能性も低く、日中関係は2014年の重要トピックになるとみているようだ。

Text by NewSphere 編集部