「その場しのぎ」か? 安倍首相の女性重視アピールに、海外紙がツッコむ

安倍首相

 安倍晋三首相は23日から、カナダ、米国を訪問中だ。同首相は米国滞在中、25日にニューヨーク証券取引所で演説を行った。演説では、自身のすすめる「アベノミクス」の成功を強調し、復調した日本経済の健全さを売り込んだ。また、日本社会での女性の活用拡大を図ると謳った。

 26日には、国連総会でも一般討論演説をする予定になっている。

【女性の雇用が成長の鍵】
 安倍首相は25日、ニューヨーク証券取引所で、日本経済は不景気から回復したと宣言し、世界第3位の経済大国は、非常に健全な経済状態だとアピールした。

 演説では、特に女性の雇用推進について語った。多くの優秀な女性が結婚や出産によって職を離れ、社会の中でその力を活かしきれていないことから、より多くの女性を活用する方向へ大きな政策転換を図るつもりだという。

【安倍首相はWSJ紙に寄稿】
 また安倍首相は、国連演説に先立って、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿。女性を活用すればGDPを約15%上げることができるという、ゴールドマン・サックス証券のキャシー松井氏らによる「ウーマノミクス」を紹介し、日本の成長に不可欠という見方を示した。

【安倍首相のねらいとは】
 安倍首相は23日、「(国連演説では)21世紀の女性の役割の重要性に焦点を当てたい」と語っていた。しかし、その真意を疑う声も少なからず上がった、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じている。

 日本大学の岩井奉信教授(政治学)はその背景について、慰安婦問題が米国でも注目されるようになったことや、女性の支持率が低いことを指摘した。実際、毎日新聞が9月16日に発表した全国世論調査によると、安倍内閣支持者のうち、支持理由として「政策に期待できる」ためと回答したのは、男性支持者では35%に対して、女性支持者は18%にとどまったという。

 こうした状況で、国連演説にて女性の活躍を重視し、社会的地位向上に取り組むことを世界に示せば、イメージが改善されるかもしれないと述べている。

 ただし同氏は、女性重視が姿勢だけで、それを裏付ける具体的な施策を実施しなければ、その場しのぎにみられると懸念を示している。

Text by NewSphere 編集部