日本の痴漢問題、海外も関心 「痴漢保険?」「男性専用車両は違う」「AVの影響」

Matej Kastelic / shutterstock.com

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 日本経済新聞は6日、山手線の全車両に防犯カメラを導入するというJR東日本の計画を報じた。痴漢の抑止などが目的だという。日本特有の満員電車による痴漢問題だが、海外の人々はどう捉えているのだろうか?

◆海を越えた理解
 日本の痴漢被害の実態については、海外でも正確に報道されている。車社会の諸外国で正しく認知されていることは意外とも言える。国を問わず性的被害者は弱者となりがちであり、このことが海を越えて理解と共感を呼んでいるようだ。

 オーストラリア放送協会(ABC)は、日本での痴漢の実例を紹介している。この女子生徒は混雑した電車内で男が「すぐ近くまで来て体を触った」という。カタールのアルジャジーラも、別の女生徒の電車内での被害体験を生々しく伝えている。両メディアとも学生にフォーカスしており、特に若年層の性犯罪被害者が声を上げにくい実態を的確に捉えている。警視庁の調査でも、被害者の実に約半数は15〜19歳となっており、被害の実態に即した報道と言えるだろう。

◆万一の備え:痴漢冤罪保険
 被害とは別の側面で、近年注目を集めているのが冤罪のリスクだ。イギリスのデイリー・メール紙は、日本で痴漢冤罪保険が人気を集めていると報じている。これは痴漢の濡れ衣を着せられた際、素早く弁護士を手配するほか、法的費用を補償するものだ。同紙の読者は「日本人はとても奇妙だ」とコメントしており、冤罪の怖さを知らないと風変わりに思えるのかもしれない。

 ただし、性的被害の冤罪は海外でも社会問題になっている。アメリカで複数発生しているキャンパスレイプ(およびその冤罪)の構図は、日本の痴漢被害と冤罪の関係に近い。アメリカの『バリュー・ウォーク』は日本の同保険を伝える記事の中で、男子学生保護の観点から、キャンパスレイプに対応する同等の冤罪保険が必要だと訴えている。

 一方、男性を被害者と見る向きには異論もある。アメリカのカルチャーサイト『The Mary Sue』が掲載したビビアン・ケイン氏の寄稿記事では、冤罪防止のために男性専用車両を希望する声を非難している。被害者を嘘つき呼ばわりすることは問題のすり替えだ、という見方が根底にあるようだ。

◆なぜ起きる?対応策は?
 日本で多発する痴漢だが、原因の捉え方はメディアによって分かれている。オーストラリア放送協会は、啓発ポスター以外に特に手が打たれていないことを指摘する。山手線へのカメラ導入のニュースは有効な一手と受け止められるのか、反応が気になるところだ。デイリー・メール紙の読者コメントでは、痴漢を題材としたポルノの影響ではないかと指摘している。アルジャジーラは制服の存在を挙げ、従順な女性の象徴になっていると分析する。確かに制服文化のある国は少数だが、それが女性の地位を限定しているという見方は新鮮だ。

 日本で痴漢が社会問題化していることは海外でも知られている。2020年に向けて訪日外国人客もさらに増加するとみられており、満員電車に慣れていない旅人でも安心して乗車できる環境づくりが進むことを願いたい。

Text by 青葉やまと