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アマゾンの「お坊さん便」、日本人の「お寺離れ」を食い止める苦肉の策? 海外も注目

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アマゾンの「お坊さん便」、日本人の「お寺離れ」を食い止める苦肉の策? 海外も注目

 ネット通販大手のアマゾンジャパンで、法事・法要にお坊さんを手配する商品が、12月8日から販売されている。定額のリーズナブルな価格と、チケット(手配書)をネット通販するという斬新なスタイルが特徴で、既に相当数の利用者がいるようだ。しかし、仏教会からは反発の声も上がっている。“業界団体”の「全日本仏教会」は24日、「宗教行為をサービスとして商品にしている」と批判する談話を発表。年明けに商品の取り扱い中止をアマゾンに申し入れる方針だ。

 海外メディアもこのニュースを報じている。特に、最近、日本人の「お寺離れ」「仏教離れ」を取り上げている英国メディアの反応が目立つ。テレグラフ紙とBBCは、関連して東京で開かれた初の葬儀関連の大規模見本市、『エンディング産業展』の様子も報じている。

◆基本価格3万5000円ポッキリ
「お坊さん便」は、基本価格3万5000円で法事・法要に僧侶を呼ぶことができるサービス。アマゾンでクレジットカードなどで決済し、お坊さんを呼ぶ希望日時、場所、宗派を運営会社に伝えると、登録している近隣の僧侶が手配され、チケットが発行される。その後、僧侶本人から連絡があり、細かな打ち合わせをした後、当日の法事・法要に来場するという流れだ。

 運営会社は、2009年からウェブ上で仏式葬儀のアドバイス業を始めた「みんれび」(本社・東京)。現在は、格安・追加費用無しを謳う『シンプルなお葬式』を主力商品としている。「お坊さん便」は、自社サイトでは2年前から行っており、今回のアマゾンでの販売開始によって一気に知名度が上がった。27日付のテレグラフ紙は、「アマゾンのサイトで38人のカスタマーが5つ星のうち3つ星の評価をつけている」と、利用者にある程度受け入れられている状況を伝えている。

 基本価格3万5000円は「移動なし、戒名なし」の読経・法話のみの依頼。ほかに、「移動あり+戒名授与(6万5000円)」「移動あり、戒名なし(4万5000円)」「移動なし+戒名授与(5万5000円)のオプションがあるが、「お車代」「お膳代」「心づけ」など一般的な法事や法要にかかる追加料金は一切かからない。ただし、アマゾンを通した場合、当日や翌日の葬儀には対応できない。ある程度日程に余裕がある要望に絞ったため、定額・低価格を実現できたという。また、トラブルを避けるため、「菩提寺とのお付き合いがある方はご利用になれません」と商品説明に明記されている。

◆仏教団体は「宗教行為を商品化した例はない」と批判
 一方、一般的な法事や法要では、菩提寺から僧侶を呼び、現金で「お布施」を渡すのが一般的だ。金額は心づけしだいで、建前上は0円でも10万円でも100万円でも良いが、実際には、地域や内容によって、暗黙の了解のうえに成り立った相場がある。「お布施」のほかに、「お膳代」や「お車代」を別に渡す人も多い。

 はっきりとした定価を打ち出した「お坊さん便」は、こうした旧来の習慣に真正面から挑戦するもので、「タブーに触れた」という見方もできる。主要宗派でつくる「全日本仏教会」は24日、斎藤明聖理事長名で「宗教行為をサービスとして商品にし、宗教に対する姿勢に疑問と失望を禁じ得ない」と、「お坊さん便」を批判する談話を発表。年明けにアマゾンに文書で正式に商品の掲載の中止を求める方針を示した。英インデペンデント紙は、「イスラム教圏であれキリスト教圏であれ、宗教行為を商品化している例はない。申し入れをアマゾンとの対話のきっかけにしたい」という斎藤理事長のコメントを紹介している。「全日本仏教会」は、あらゆる宗教行為は商売ではなく、人々の感謝の気持ち=お布施の上に成り立っているという従来からの立場を守りぬく方針だ。

 ちなみに、お布施は寄付とみなされ、消費税の支払いが免除される。僧侶個人が得たお布施は所得税の課税対象になるが、宗教法人格の寺院に入った場合は法人税は非課税だ。「お坊さん便」では、株式会社である「みんれび」の取り分は課税対象だが、登録僧侶が自身の取り分を納税するかは、各々の判断に委ねているという。

◆仏教界の起死回生策との見方も
「お坊さん便」のようなサービスが登場した背景には、お寺との関わりを持たない世代が増えている状況がある。「みんれび」は、「お坊さん便」は、そうした「依頼の仕方が分からない」「お布施の相場が分からない・高くて払えない」「檀家になりたくない」といった層にオススメだとしている。ベネズエラの『ラテン・アメリカン・ヘラルド・トリビューン』紙も、「さまざまなライフスタイルを持つ人や、伝統的な法事を行いたいが、特定の寺院との関わりがない人のニーズ」に応えるのが、「お坊さん便」の狙いだとしている。

 日本の寺院は、後継者不足、檀家の減少、少子高齢化による地域コミュニティの崩壊により、衰退の一途を辿っていると言われる。今後25年以内に全国の寺院の約4割が閉鎖されるという予測もあり、既に2万以上の寺院が住職のいない「空き寺」になっているという。英ガーディアン紙など複数の海外メディアが、最近この状況を詳報しているが、『坊主バー』の運営や文化事業への進出など、若い僧侶を中心とした起死回生策も紹介されている。

 テレグラフ紙とBBCは、12月8―10日に開かれた『エンディング産業展』にも注目。葬祭業者など約200社が参加した葬儀や埋葬に関する見本市で、東京ビッグサイトに2万2000人以上の来場者を集めた。BBCは、このイベントで行われたアカデミー賞受賞映画『おくりびと』で広く知られるようになった納棺師のコンテストに注目。会場の一角で行われた僧侶による空手の瓦割りのパフォーマンスを「人々を伝統的な葬儀に呼び戻すための策」だと紹介した。テレグラフ紙も、イベント全体を「新しく墓を建てたり、維持するコストを払えない若い世代」に、新たなオプションを提供する場だと同見本市を紹介している。大局的には、アマゾンの「お坊さん便」も、こうした起死回生策の一つと見るのが妥当だと言えそうだ。

(内村浩介)

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