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発見相次ぐ、死体を乗せた謎の木造船…何を意味する? 金書記が進める政策の被害者か

  • カテゴリー:社会
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発見相次ぐ、死体を乗せた謎の木造船…何を意味する? 金書記が進める政策の被害者か

 10月以降、日本海側の沿岸や沖合で、漂流する木造船が多数発見されている。その数は先月までで11隻に及んでおり、2日にも新たに2隻が発見された。船内から腐敗あるいは白骨化した遺体が発見されることもあり、これまでに26人の遺体が確認されている。海外大手メディアもこれらの船を「幽霊船」「死体を乗せた謎の船」などと呼んで、このニュースに注目している。一部の船からハングルが書かれたものや、漁具が見つかっていることなどから、北朝鮮の漁船だとの見方がされている。脱北を試みた船かもしれないとの見方もある。

◆北朝鮮船だということに「疑問の余地はない」
 海上保安庁や警察によると、10月から11月までに11隻の木造船の漂着が確認され、船内や付近から25人の遺体が発見されたという。遺体の多くは腐敗が進み、白骨化したものもあるという。2日にも新たに2隻が発見されたほか、以前に発見された漂流船の内部で1人の遺体が見つかった。

 AP通信によると、大部分の船で、漁具や、ハングルによる表示が見つかったという。海上保安庁の報道官は、断定はできないものの、これらの船の状態の悪さと、10~12メートルという船体の小ささから、韓国や日本のものらしくはない、と述べたという(ロイターは「ガタのきた船」と形容している)。

 ある船では、北朝鮮の軍である「朝鮮人民軍」とハングルで書かれたプレートと、北朝鮮の国旗の一部らしき布の切れ端が見つかっている。NHKが報じたものだが、一部海外メディアはこの報道を参照している。

 内外の各メディアで、専門家らが、これらの漂流船は北朝鮮の漁船だとの見解を示している。CNNでは、イギリスのシンクタンク、王立国際問題研究所のアジア部門トップのジョン・ニルソン-ライト氏が、船の画像を見た上で、「これらの船が北朝鮮のものだということに疑問の余地はない」と断定している。

◆性能の低い船で無理を押した漁
 各海外メディアも、これらが北朝鮮の船であることはほぼ確実視しているようだ。これらの船がどういう経緯で漂流に至ったかについては、漁を行っていて帰還できなくなったという説と、脱北を試みて遭難したとの説に集約されている。

 ロイターは前者の見方を取っている。北朝鮮の食糧難や、外貨を必要としているといった事情から、北朝鮮政府が漁業を非常に重視していることを事件の背景として伝えている。外貨獲得のためと、天候などに依存せず枯渇することのない食料供給源として、金正恩第一書記は漁業を非常に重んじている、と伝える(北朝鮮の農作物は天候不順によってしばしば凶作に見舞われている)。また、指導者就任以来、食料増産を、孤立している北朝鮮の優先事項にしている、と語る。

 韓国の釜慶大学校の水産学のKim Do-hoon教授はロイターに、「金正恩は漁業を振興してきており、より多くの漁船が出漁している理由がそのことで説明できるだろう」、「しかし北朝鮮の船の性能は本当に貧弱で、エンジンもひどいもので、漁獲を増やすために遠くまで行くと生命を危険にさらすことになる。時にそれらの船は漂流し、漁師は餓死する」と語っている。

◆北朝鮮では軍が漁業を運営する
 ロイターは、北朝鮮では軍が直接、漁業に関与していることも報じている。何百万人もが十分な食料を見つけられない北朝鮮において漁業は極めて重要な産業であり、総勢120万人の北朝鮮軍は、漁業を含め食料生産に大規模に従事している、と語っている。元北朝鮮軍人のある脱北者は、北朝鮮軍にとって漁獲物は最も重要な輸出物であり、軍は金を稼ぐために民間の漁師を雇っている、と語っている。また、北朝鮮軍の各部隊と保衛部は、外貨獲得のため、金の採掘から東西沿岸での漁業まで、多数の商業活動を営んでいる、と述べている。

 ロイターは、漂流の背景に、金書記からの圧力があったとの見方を伝えている。北朝鮮軍の下級士官だった別の脱北者は、「金正恩は漁獲量拡大を強力に推進している。なので、これらの船は、無理な仕事の末に立ち往生したに違いない」と語っている。またロイターは、金書記が最近、軍の水産事業所を訪れ、漁獲量の拡大に期待する旨を語ったことを伝えている。

 AP通信も、これらの船は漁をしていて遭難したとの見方がメインだ。ここ数年、食料不足の北朝鮮の漁師は、イカ漁のために日本の海域にますます侵入するようになっている、と伝える。また、漂流しているのを発見された船のいくつかは、イカ漁の装備を積んでいた、と報じている。

◆船による脱北者が増えているという説も
 テレグラフ紙は、船に漁具が積まれていたことを伝えつつも、脱北船だったとの見方をメインに伝えている。その見解を支えるものとして、北朝鮮国民の間で政権への恐怖、不安が高まっているという明治大学国際総合研究所の奥村準・客員研究員のコメントを伝えている。「北朝鮮の指導部で非常に多くの粛清があったため、その恐怖が社会に浸透し、誰しもが不安になっている可能性が高い」と同氏は述べている。

 CNNも、船は漁をしていたという推測があることに触れつつ、脱北の可能性のほうが高いと考えるニルソン-ライト氏のコメントを伝えて、脱北船説を多めに伝えている(ただし同氏は、情報が限られており確言は不可能だが、と断っている)。

 同氏は、政治的理由と同様に、生きていくための経済的理由から、人々は脱北を試みているのかもしれない、との見解を示している。「平壌以外に住んでいる人たちにとって、生活はいまだに並外れて困難であり、北朝鮮の一部の人たちに国を離れる試みをそそのかしているのは、政治的自由への欲求と同じ程度に、経済的必要性かもしれない」と語っている。

 また同氏は、以前の脱北者が使用していた、中国との国境を越える陸路が現在は監視され、使用するのが難しくなっている可能性があるせいで、日本海経由の(韓国に亡命する)より危険なルートを取るようになっているのかもしれない、と語っている。

◆実は同様の漂流船は毎年発見されている?
 最近、漂流船が立て続けに発見されたことで、注目を集めているが、AP通信によると、このような船の発見は異例というわけではないという。海上保安庁によると、昨年は65隻、一昨年は80隻の同様の漂流船が発見されたそうだ。1日付の記事によると、今年はこれまでのところ34隻で、うち11隻が10月末から11月までで見つかっている。

 漂流船の数は、秋と冬に増加する傾向があるが、これは北西風が優勢になるためだ、と海保の報道官が語っている(AP通信)。

 最近発見された船が、いつ遭難したのかは不明だが、テレグラフ紙は、死体の腐敗の進行から見て、相当の期間、漂流していたことが示唆される、と語っている。産経ニュースでは、コリア・レポートの辺真一編集長が「金氏の号令を受けて夏場に出港した大量の漁船の一部が遭難したのではないか」との見方を示している。

(田所秀徳)

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