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川内原発2号機再稼働 : 海外は「市民の反対」を強調 日本の原発に依然高い関心

  • カテゴリー:社会
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川内原発2号機再稼働 : 海外は「市民の反対」を強調 日本の原発に依然高い関心

 九州電力川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)が15日、再稼働した。2013年7月に施行された新規制基準の下で再稼働したのは、今年8月の同原発1号機に次いで2基目。2011年の福島第一原発事故以降、日本の原発を巡る動きに高い関心を示す主要海外メディアも、今回の再稼働を広く報じている。その多くは、「安倍政権が、強い市民の反対を押し切って再稼働に踏み切った」といった論調だ。

 英紙ガーディアンは併せて、福島県内で初めて避難指示が全域で解除された楢葉町の現地ルポを掲載。実際にはほとんどの住民が帰宅を果たせないでいる“理想と現実のギャップ”を伝えている。

◆「市民の反対にもかかわらず」
 川内原発は、反原発派がゲート前で抗議活動を行う中、15日午前に再稼働した。「市民の反対にもかかわらず、日本が2基目の原子炉を再稼働」(ガーディアン)、「日本が2基目の原子炉を反対にもかかわらず再稼働」(ドイチェ・ヴェレ=DW)、「再稼働は、日本国内での原子力の使用への幅広い反対にもかかわらず、行われた」(CNN)など、海外メディアでは「反対にもかかわらず」というフレーズが目立つ。DWは「川内原発は活火山の桜島からたった50kmだ」と、その立地についても不安視している。

 当日ゲート前に抗議のために集まった反対派の人数については、70人(ガーディアン)、100人(CNN)と幅がある。産経新聞は「15日、川内原発前に集まった反原発派は約100人、1号機再稼働時の4分の1程度だった」と伝えている。ガーディアンは、国際環境NGO『グリーンピース』の日本人活動家の「日本政府は、危険で古臭いエネルギー源で日本の市民にリスクを与えるよりも、安全でクリーンな再生可能エネルギーへの転換を支援する政策を打ち出すべきだ」というコメントを紹介している。

 DWは、安倍政権のエネルギー政策について、「前政権の原発停止を覆し、安くて入手しやすいエネルギーの供給が必要不可欠だと主張している。日本政府は2030年までに国のエネルギー源の20%から22%を原子力にする計画だ」としている。ガーディアンも「安倍晋三首相は、世界第3位の経済大国を動かすには、原子力が必要だと主張している」と記す。菅義偉官房長官は、2号機再稼働後の定例記者会見で、「政府の方針に変更はない」と述べている。

◆一部反対派の傍若無人な行動
 CNNは、8月の1号機の再稼働以来、ゲート前で座り込みを続けている反対派の様子を紹介している。15日付の産経新聞(電子版)によれば、8月以降、全国から反対派活動家が薩摩川内市に集まっており、中には傍若無人な行動で地元住民の怒りを買っている者もいるようだ。

 記事によれば、一部の原発反対派が、原発とは無関係な住民に自分たちを見て笑ったなどと言いがかりをつけ、「殴られたいのか」と大声で怒鳴りつけたり、海岸に無許可でテントを張ったり、深夜に住宅地を徘徊するなどしているという。1号機が再稼働した8月11日には、反原発派の車5台が川内原発正面ゲートをふさぎ、近くの生活道路が約1時間全面通行止めになった。「通勤のマイカーや路線バスが足止めとなった。車中には透析のため病院に向かう高齢者もいたという」と同記事は指摘する。こうした反原発派の行動に対し、地元の地区コミュニティ協議会は先月、県と薩摩川内市に適切な指導を求める要望書を提出した。

 今回の2号機再稼働の際には、学生組織が「安倍ネオファシスト政権打倒!憲法改悪阻止!」と、原発と関係のないことを叫んでいたとも報じられている。「反原発派は全国からやってくる。この日も、鹿児島をはじめ、愛媛や福岡などから集結した。なかには、原発だけでなく、安全保障関連法や米軍普天間飛行場の辺野古移設など、政権の方針全てに反対する活動家が含まれる」と産経は記す。海外メディアがこうした実態をどこまで把握しているかは不明だが、反対派と一般住民との間の軋轢にまで踏み込んだ報道は見られない。

◆楢葉町に帰ったのは一握りの高齢者だけ
 一方、ガーディアンの楢葉町ルポは、住民へのインタビューも交えた臨場感のある筆致だ。同町の避難指示は9月5日に解除されたが、ガーディアンによれば、震災前の人口7400人のうち、これまでに帰宅したのは200人から300人過ぎないという。そうした数少ない人たちを通りで見かけることはほとんどないといい、「町役場近くにはプレハブの商店や飲食店があるが、周辺で見かけるのはインフラ再整備のために呼び寄せられた約1000人の建設作業員ばかりだ」と同紙は記す。

 数少ない帰宅者のほとんどは高齢者だ。ガーディアンは、79歳の男性と妻の帰宅に同行し、長年空き家になっていた自宅の様子を次のように記す。「畳敷きのリビングルームの棚にはこけしが並び、黒縁の写真の中の先祖たちが見下ろす。これ以上に清潔な家を想像するのは難しいが、この風光明媚な町の他の家同様、ここも4年半の間放棄されていたのだ」。この老夫婦は、子供たちの反対を押し切って帰宅を決意したという。「私たちは、放射能の影響で癌になるには歳を取り過ぎています。今後、多くの人たちが帰宅すると思いますが、子供・孫世代は帰ってこないでしょう。ここで子育てをするのは難しいと思います」。

 建設作業員向けの食堂で働く元住民は、震災で被害を受けた自宅は動物たちに荒らされ、中は糞だらけでとても住める状態ではない、とガーディアンの記者に訴えている。それでも、この56歳の男性は、「今の家を取り壊し、5年後か10年後に同じ場所に新しい家を建てて夫婦で戻ってきたい」と話す。しかし、「町の未来がどうなるかは分からないが、元通りにならないでしょう。多くの住民は既に70代か80代で、30代、40代、特に小さい子供の親は戻って来ようとは思っていない。この地域は美しいが、生活は本当に不便です」と、楽観的にはなれないようだ。現在、楢葉町では2017年春の開校を目指して中学校の再建が進んでいるが、ガーディアンは「そこには卒業生も教えるべき子供もいない」と記している。

(内村浩介)

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