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続く欧米の太地町イルカ漁批判 映画『Behind the Cove』は流れを変えることができるか

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続く欧米の太地町イルカ漁批判 映画『Behind the Cove』は流れを変えることができるか

 3日に和歌山県太地町でイルカなど小型鯨類の追い込み漁が1日の解禁後初めて行われた。日本の捕鯨・イルカ漁についての欧米の関心は依然強く、海外メディアもこうした日本側の動きを逐次報じているが、依然として批判的な論調が目立つ。他方、日本人監督の八木景子氏が海外の映画祭で、捕鯨・イルカ漁についての欧米からの批判に異を唱える映画を公開し、注目を集めている。日本側の反論に対して、欧米メディアは誠実に報道を行うのだろうか。一連の出来事について、現在までに行われた欧米側の報道を検証する。

◆依然として日本のイルカ漁・捕鯨に批判的態度を崩さない海外メディア
 3日、和歌山県太地町でイルカなど小型鯨類の追い込み漁が1日の解禁後初めて行われた。今年5月、日本動物園水族館協会(JAZA)は同漁で捕獲された野生イルカの入手を禁じたが、太地町立くじらの博物館はJAZAを退会し、漁は本年も例年通り実施された。

 イギリスのクオリティペーパーであるガーディアン紙は、今回のイルカ漁について早速報道し、「身の毛もよだつようなイベント」と評したうえで、「一部のイルカは水族館へ売られている」と述べている 。同記事では先日予告されたミンククジラの捕鯨についても「あくまで調査と説明されているが、海外では批判に晒されている」と批判的な紹介がなされている。同じくイギリスの新聞インデペンデント紙は、イルカ漁で赤く染まった海の写真や「Je Suis Dolphin」というボードを持った女性の写真を掲載するなど、より強い論調で批判を展開 。和歌山県側が英文で公式にその妥当性を否定している イルカ肉の水銀含有量と健康被害についても、同紙は「水銀が含まれ、健康被害が懸念されるにもかかわらず多くのイルカが食用にされている」と同町の公式見解に言及せず、イルカ漁反対の根拠の一つとし続けている。

◆日本側の主張を盛り込んだ新作映画“Behind the Cove”に対してすでに批判的なメディアも
 こうした欧米によるイルカ漁・捕鯨批判の映画として、アカデミー賞を受賞した“The Cove”が知られているが、最近日本人の映画監督八木景子氏がこれに反論する映画“Behind the Cove”の制作を終えている。“Behind the Cove”は先日第39回モントリオール世界映画祭の一環としてカナダで上映され、海外の観客から賞賛されたことが日本国内でも報道されている。

 しかしこうした報道より一足早く、米国の通信社AP通信は先月7日に八木監督のインタビューを掲載している 。同インタビュー記事では八木監督が“Behind the Cove”で展開した主張を「現在の日本のイルカ肉・クジラ肉の消費量は西洋人よりも少ない」と要約したうえで、八木監督の「互いの食文化を尊重しあわなければ、この戦いは終わらない」という発言を掲載している。一方、同記事では八木監督による提言については特に賛同も批判もしないまま、揚げ足を取るかのように「八木監督は同映画で捕鯨活動を引退した漁師には取材しているが、現在もイルカ漁を継続中の漁師や海外の水族館にイルカを売るビジネスについてふれていない」と批判を展開している。

 さらにこの記事では、“The Cove”に出演した元イルカの調教師であるリック・オバリー氏や、同映画を監督したルイ・シホヨス氏のコメントを併せて紹介。同通信社の“Behind the Cove”に関する質問について、「両者はまだ映画を見ていないと回答を拒否した」と伝える一方、オバリー氏による、「“The Cove”ではもっと日本人に取材すべきだった」という反省と思しきコメントや、シホヨス氏による「日本いじめはよいとは思っていない」という主旨のコメントを掲載している。さらに同通信社による過去の取材では、二人が「“The Cove”を撮影したのは、あくまでイルカ漁の残酷さを指摘したかったからだと語っていた」と伝え、反イルカ漁側の意見を代弁している。また、同記事を「太地町でイルカ漁をする漁師は少数派であり、観光など別のビジネスへの転換を望んでいる」という二人の見解で結んでおり、全体的には日本側の主張に対して厳しい姿勢を崩していないと言えるのではないか。

◆誠実で合理的な回答とは言い難い海外メディアの論調
 これまで見てきたように、イルカ漁や捕鯨に関して欧米のメディアは依然として日本に対して批判的であるが、特にインデペンデント紙の論調は、先月掲載された八木監督のインタビュー記事はもちろん、以前から掲載されているイルカ肉の水銀についての和歌山県側の公式見解をまるで知らないかのようだ。AP通信の記事では、最後にイルカの水族館への販売ビジネスについてオバリー氏とシホヨス氏の見解を紹介していたが、日本では財務省が貿易統計でイルカ販売の大半が海外水族館への輸出であることを公表しており、これによれば中国、ロシア、ウクライナのほか、2012年にはアメリカも日本から「くじら目、海牛目及び鰭脚下目(生きているものに限る)」を輸入している 。イルカを輸入する諸外国への批判はなされず、イルカの水族館への販売ビジネスに関して日本だけを標的にして批判する姿勢は合理的で誠実なものとはとても言い難い。

 イルカや鯨の肉だけを特別視する欧米の偏った不可解な倫理観や非合理性はもちろん、“The Cove”における印象操作の数々、諸外国がジャパン・バッシングの一環としてイルカ漁・捕鯨を利用しているという識者による指摘 、イルカ輸入国あるいは日本よりイルカ肉・鯨肉を消費している国が存在するという意見にもかかわらず、日本ばかりを叩き続ける海外メディアの報道には、日本人なら疑問を抱かない者はいないだろう。一方的で非合理的な報道、あるいは利権に動く環境保護団体がプロパガンダを止め、海外メディアが“Behind the Cove”を論理的かつ公平に報道する日は本当にくるのだろうか。

 なお、八木監督の“Behind the Cove”はすでにYoutubeでダイジェスト映画が公開されており、日本での公開が待たれている 。また、2016年には太地町などでも撮影が行われた、佐々木芽生監督による映画“The Whale Movie”が公開予定となっている。

(本間吉郎)

外部サイト参考記事

Ken Makita

この映画を上映したからといって、熱狂的な反捕鯨メディアが賛成論に変わることは一部例外を除いてはないでしょう(SS側のカメラマンが賛成派に転じた稀な例はあります)。
この映画が一般の人々に浸透すること、或いは賛成論に転じないまでも、SSの手法への疑問や批判が生まれることを望みます。その可能性はあると思います。

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