川内原発再稼動に市が同意 近隣自治体、恩恵なくリスクのみ…アンフェアと海外指摘

 鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市議会は28日、九州電力川内原子力発電所再稼動に賛成する陳情を採択した。続いて市長も同意を表明したため、市として再稼動に同意したといえる。議決では、議長を除く25名中、賛成19名、反対4名、棄権・退席2名だった。来月には鹿児島県で再稼動の承認についての審議が行われる。

 川内原発1、2号機は、原子力規制委員会が、新規制基準に適合したと結論付けていた。実際の再稼動は早くても来年になる見通しだ。

◆福島の事故以来の状況
 日本の原子力発電所は、福島第一原発事故以来、段階的に停止され、昨年からは国内の48基全てが稼動停止している。

 事故以前には電力の30%を供給していた原子力発電所の稼働停止によって、日本はエネルギーを高価な化石燃料の輸入に頼ることとなった。安倍政権はエネルギーコストの増大を解消するためにも、原子力発電所の再稼動を推進している。

 一方で、多数の国民が再稼動に反対している。安倍政権は、原子力規制委員会の新規制基準を満たし、地元の同意を得たうえで再稼動を進めるとしている。

◆原発をめぐっての国内の分裂
 薩摩川内市の再稼動同意について報じている海外各メディアは、同時に近隣自治体との軋轢について報じている。

 特に隣接するいちき串木野市では、住民の9割が川内原発の20km圏内に居住しており、事故が起こった際には同等のリスクに晒されるとロイターは伝えている。一方で同市には、立地自治体である薩摩川内市に対するような政府または九州電力からの手厚い補助金はない、とブルームバーグは報じる。

 ブルームバーグは特にこの点について詳しく報じ、政治学者アルドリッチ氏の言葉を引用している。曰く、「今まで認識されていなかった原子力の潜在的コストに、現在のコミュニティは十分に気づいている」。即ち、原発は故郷を失う危険にもかかわらず経済的利益は全く手に入らない可能性があり、「非常にアンフェア」な問題だとコミュニティは認識しているということだ。

 環境保護団体グリーンピースは、今回の議決は「九州電力の権力と影響の証に過ぎない」「鹿児島県民とより広い日本の大半の人々の見方に明確に反する」と主張する。この主張は原子力をめぐる国内の分裂を強調する働きをするとブルームバーグは見る。

 ガーディアン紙は「回答されていない、あるいは無視された、安全に関する重要な問題がたくさんある。これらの問題は川内原発の再稼動によって命と生活を脅かされる人々が納得できるよう公的に取り組まれねばならない」とのグリーンピースの主張を伝えている。

 また、ブルームバーグは川内原発の再稼動が原子力に対するバックラッシュを起こす可能性があるとも述べている。

◆安全性に疑義あり?
 川内原発は、原子力規制委員会による規制基準を満たすとされた。福島第一原発の事故を受け、この基準はより厳しいものとなっている。

 しかし、ロイターは記事の最後で、28日同日に九州電力が運営する別の原発の補助建屋で火災があったことを伝えている。火は職員によって消し止められ、怪我人、あるいは放射性物質の漏洩はない。

 ガーディアン紙は、川内原発から約60km離れた硫黄山で、最近噴火の兆候が観測されたことを報じ、火山への懸念が問題をより複雑にしていると伝えている。

 原発の安全性に関する海外の懸念をすっかり拭い去ることは難しいようだ。

Text by NewSphere 編集部