日本の喫煙率20%以下に 半世紀前は約50% 変化の背景に海外メディア注目

 日本たばこ産業(JT)が毎年行っている全国たばこ喫煙者率調査で、1965年の調査開始以来、初めて喫煙者率が20%を下回り、19.7%となった。男女別では、男性が30.3%、女性が9.8%で、ともに前年より減少した。

 この調査は、JTが今年5月に全国の成人3万2000人を対象に行い、回答のあった1万9420人から算出した。JTによると、喫煙率の減少は、高齢化や健康に関する意識の高まり、4月の消費税率引き上げに伴うたばこの価格上昇などが要因という。

【出足が遅かった日本】
 ソーシャルサイト『wiseGEEK』は、日本には長年、喫煙に関する規制がなかったことを紹介している。同サイトによると、アメリカやイギリス、欧州各国が規制法案を議会で承認する一方、日本では、日本たばこ産業の影響が大きく、規制がなされなかった。しかし、2004年以降、規制がなされるようになり、それまでは未成年でも簡単に購入できた自動販売機でのたばこの購入には、IDカードや顔スキャンが導入されるようになったこと。さらに、自治体ごとに厳しい規制が敷かれるようになり、道路などでの喫煙に対し、罰金が科せられる場合があることも紹介している。

 1966年には約半数の49.4%であった喫煙率は、規制が行われるようになった2004年に30%を下回り、今回、アメリカと同レベルにまで喫煙率が減少した。

【たばこ業界はアメリカに期待】
 アメリカの疾病対策予防センターが2012年に発表したアメリカ人の成人の喫煙率は18.1%。男女別では、男性が20.5%、女性が15.8%だという。喫煙率では、日本とほぼ同じであるにも関わらず、たばこ業界はまだ成長の余地があるとして、アメリカに大きな関心を寄せていると、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 アメリカでは、低所得の人たち、ゲイやレズビアン、両性愛者、性転換者の喫煙率が高く、たばこ業界はそうした人々をターゲットにしているという。嫌煙団体の「レガシー」によると、高い喫煙率は、社会的ストレス、酒場通い、高い飲酒率に関連している可能性があるという。

 ストレスと喫煙の関係は深いようで、韓国でサービス業に従事する女性の喫煙率が48.3%と非常に高いことをうけ、韓国の大学教授が「サービス業は給与が低いだけでなく、客の理不尽な要求にも耐えなければならないので、ストレスは相当大きい。サービス業の女性にとって、喫煙は1種のストレス解消になっている」との見解を示したと、韓国紙の亜洲経済の中国サイトが掲載している。

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Text by NewSphere 編集部