姫路港沖でタンカー爆発・炎上事故、日本政府の素早い対応を海外メディア評価

 29日(木)午前9時20分ごろ、兵庫県姫路市沖の播磨灘で、聖朋(しょうほう)海運(広島県大崎上島町)所有のタンカー「聖幸丸」(998トン、全長81メートル)が爆発したと海上保安庁が発表した。

 8人の乗組員のうち7名は救助、そのうち1名は重体で残り3名は大やけどを負い、病院で手あてを受けている。64歳の船長は依然行方不明だ。

【タンカー爆発の経緯】
 今回のタンカー爆発事故については、海外メディアも強い関心を寄せ報道している。積んでいた原油を下した後、姫路港沖に停泊していた聖幸丸が突然「ドーン」という爆音とともに炎上した。黒煙が上空100メートルの高さまで上がったという。爆発の勢いのすさまじさを示す証言として、姫路港管理事務所の男性職員は「『ドーン』という爆発音が2回ほど聞こえた。始めは自動車の衝突だと思い、外を見た」とウォール・ストリート・ジャーナル紙の電話インタビューに答えた。

 事故当時、聖幸丸は積み荷の原油は降ろした後で、心配された周辺への影響も少ない見込みである。またタンカーは港の外にいたため、他の船に直接の危険は迫っていない。危険区域へは他の船は進入禁止になった。

 今回の事故の原因はいまだ明らかにされておらず、今後の調査が待たれる。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、『デイリー・メール』では、事故当時乗組員が研磨機で錆落としを行っており、この時に散った火花が可燃性ガスに引火したのではないかと報じている。

【事故への政府の対応】
 今回の事故に関し、政府は迅速な対応をとった。安倍総理は参院外交防衛委員会に出席中だったが、この事故について報告を受けた。総理は答弁の中で「兵庫沖で現在タンカーが爆発して炎上中なので、指示を出させてもらったところだ」と述べ、審議中に関係省庁に情報収集を指示したことを明らかにした。

 姫路港は瀬戸内海に位置し、重工業の拠点が多く存在する。このため、政府は事故の影響の拡大を懸念し、素早い対応をとったものとみられる。これについて海外メディアは好意的に受け止め、事故の模様とあわせて報じている。

 約1か月前にも韓国で痛ましい海難事故が起きたばかりである。インターネットに投稿されたコメントを読むと、この2つの事故を比較したものが大部分である。安倍首相自身も韓国の事故が脳裏に浮かんだのかもしれない。迅速な対応は評価できるが、今後は原因究明に力を注ぎ、一日も早い解決が望まれる。

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Text by NewSphere 編集部