「真のメタル、偽メタル、そしてBABYMETAL」 ジャンルを超えた魅力、海外で話題

“アイドルとメタルの融合”をテーマに活躍する「BABYMETAL」。平均年齢15.5歳の女性3人組ユニットだ。自分たちの音楽を「kawaiiメタル」と名づけている。YouTubeで公開されたミュージックビデオが話題となり、国際的に知名度を上げている。7月には初のワールドツアーを開始した。さらに、レディー・ガガのコンサートツアーの前座として、31日より5ヶ所で出演する予定だ。

【インターネットから人気に火が付く】
 ロサンゼルス・タイムズ紙(LAタイムズ)によると、BABYMETALの楽曲は、スラッシュメタル、デスメタル、パワーメタルの狂乱的な混合物であり、その荒々しさすべてをシュガーコーティングするかのように、キャンディーピンクなJ-POPのメロディーをかぶせられているという。

 2月にYouTubeで公開された『ギミチョコ!!』のミュージックビデオは、現時点で再生回数が1250万回を超えている。BABYMETALはインターネットなしに存在できなかったであろう、とLAタイムズ紙は述べている。

【初のワールドツアーは大成功?】
 ワールドツアーでは、これまでにフランス、ドイツ、イギリス、アメリカで公演が行われた。海外の多くのファンにとっては、BABYMETALをじかに目にする初めての機会となった。海外のさまざまなメディアに、ライブのレポート記事が掲載された。

 LAタイムズ紙は、ハリウッドの「フォンダ・シアター」で行われたライブについて、公演中、誰もがステージに向かって、人差し指と小指を角のように突き出すメロイック・サインを振り上げ、BABYMETALの名前を連呼していた、と伝える。このステージのおもしろさは、メタルのステージに期待しうるものとして、ほとんど最大限のものだった、と形容する。

 VICE誌の音楽情報サイト『Noisey』は、ロンドンで行われたライブを見て、なぜあれほど多くのメタルファンが、BABYMETALにのめり込むようになっているか、容易に分かる、と語った。アイドルのステージの派手な演出と、メタルのステージの激しさが組み合わさっている様子を描写する。

【「これはメタルなのか?」 メタルファンの間で熱い議論が】
 これらの記事は、ライブに集まった観客の熱狂ぶりを伝えているが、ヘビーメタル・ハードロックに関するユーザー参加型情報サイト『Blabbermouth』では、ユーザーの間で、激しい論戦が行われていた。「こんなものはメタルではない」という批判と、BABYMETALを擁護する立場の論争だ。LAタイムズ紙にも、BABYMETALは、ヘビーメタル界で、いま最も意見を二分するグループだと述べられている。

<評価する意見>
・彼女たちがライブするところを実際に見た人に聞いてみなよ。このバンドはすごいよ。信じないって? 自分で行って確かめてごらん。
・うちの子供たちは、こういうバンドのおかげで、メタルを好きになり始めている。ポップ音楽以外にも、いろいろな音楽があると知るようになった。この先、メタルファンがもっと増えてくれれば、メタルは生き残れる。
・メタルファンの中でも、ごり押し屋の、心が狭くてエリート意識の強い人たちには、本当にうんざりする。何が本当にメタルの息の根を止めることになるかって、それは確実にBABYMETALじゃなく、この心の狭いメタル純粋主義者たちだよ。

<批判的な意見>
・芸術的表現じゃなく、純粋に商業主義だという点で、このバンドは偽物(のメタル)だ。商業主義が嫌いだからって、心が狭いことにはならないだろ。
・こんなのはメタルじゃないし、くだらない。
・腕のいいミュージシャンがバックでメタルを演奏する、動きのそろったダンスの上手な子供たち…こんなのは日本式の金儲けでしかない。

【BABYMETALの真価はステージを見なければわからない?】
 一方、『METALSUCKS』は、「真のメタル、偽のメタル、そしてBABYMETAL」と題したレビューを掲載。BABYMETALはメタルではなく、キャラクター・音楽など様々な要素が複合した“演劇”に近いものだと論じている。

 実際、BABYMETALのステージの魅力について語るコメントも見られた。

・口パクだろうと思っていたのに、実際に歌っていたので、本当にびっくりした。
・彼女たちの原点である、アイドルカルチャーについて理解しないと。彼女たちは(音楽中心の)バンドと、演劇的な舞台作りのクロスオーバーなのだと考えられる。特に、ライブを見たことがない人には、このことが見過ごされている。彼女たちは、単なるバンドじゃない。

Text by NewSphere 編集部