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『聖☆おにいさん』、なぜ宗教家から怒られないのか 文学僧侶が解説

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『聖☆おにいさん』、なぜ宗教家から怒られないのか 文学僧侶が解説

福生山宝善院副住職の松下弓月さんに人気マンガ『聖☆おにいさん』の魅力について語っていただきました(編集部)

 このところ宗教をテーマにしたマンガが人気です。日本最古のマンガと言われる京都・高山寺に伝わる『鳥獣戯画』にも宗教的テーマが見つかるくらいですから、元々マンガと宗教の縁は浅いものではありません。

 最近は僧侶を主人公にしたマンガが増えているのですが、若い僧侶の性や嫉妬を描く朔ユキ蔵『お慕い申し上げます』や、僧侶であり医師である苦悩を描いた『病室で念仏を唱えないでください』など注目作がいくつもあります。

【宗教関係者の間でも話題】
 なかでも宗教マンガの代表的な作品と言えばやはり『聖☆おにいさん』でしょう。もう今さらあらためて内容紹介をするまでもないかもしれませんが、神様たちも忙しいという世紀末が過ぎた現代で、天界から休暇をもらった神の子イエスと目覚めた人ブッダが東京は立川のアパートで二人暮らしをしているというお話です。これまでに刊行された10巻で累計発行部数が1000万部を超え、昨年は映画も公開されました。

 本作は題材の選び方もさることながら描き方があまりにユニークなため、宗教関係者の中でも少なからず話題となってきました。特に気になるのは両開祖の描き方です。うっかり後光が指したり銭湯の湯船をワインに変えてしまったりと聖人らしさの片鱗は見せるものの、休暇中とは言えあまりにゆるくズレた振る舞いが強調されています。

 行動的だけれど物欲に負けやすいイエスと、細かいことを気にするブッダという性格づけも、わかるようでよくわからない部分が多く、信仰を持っている人からすれば自分の知るイエス像・ブッダ像とはかなり遠いと感じられるのではないでしょうか。

 とはいえ、基本的には宗教者からの反応も悪くありません。冗談めかした描き方ではあるものの、気軽に楽しみながら宗教に触れられる入り口として好意的に評価されることが多いようです。

【宗教的表現を読み替える】
 そんな描き方をしながらもネガティブな反応が起こらないのは、本作では宗教的な題材が元の文脈からほとんど切り離されているからではないかと思います。例えば1巻ではよくブッダの長い耳たぶや額の白毫(額に生えた巻き毛)がネタになっていました。満員の終電に乗ったら、酔っ払ったサラリーマンたちにブッダは白毫をボタン代わりに連打され、最後は立ったまま寝てしまった伯父さんたちに長い耳たぶをつり革代わりにされてしまいます。

 長い耳たぶなどは、もともと三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじゅっしゅこう)と呼ばれるブッダの身体的特徴の一つです。仏教的文脈では、ブッダの聖性やその性質を表すものです。手足指縵網相(しゅそくしまんもうそう)という手足の指の間に水かきのような膜もその一つですが、仏像の差し出された手で見たことのある方も多いのではないでしょうか。これはただの一人もその救いの手から漏らすことのないようにというブッダの願いを表現するものです。つまり、本来はこういった身体的特徴は、ブッダに対して尊さやその慈悲の深さを感じさせる働きをしているのです。

 ところが、『聖☆おにいさん』では宗教的文脈で聖性を感じさせるものは冗談のネタとなっていて、宗教的メッセージを伝えるという本来の機能とは違った描かれ方をしています。もちろん伝道マンガではないので、多少気になるところもありますが、まあ問題ない範囲でしょう。イエスとブッダが外界で休暇中という設定にしていることも、この落差をうまく処理することにつながっています。

 このように文脈から切り離されて、宗教的な逸話がネタとして違う文脈に入り込んでいくことは悪いことと単純に言えることではありません。元々の文脈とはまったく違うフィールドへ入り込んでゆく様には、宗教的物語の物語自体としての強度を感じます。

【唯一無二の世界観『燃える仏像人間』】
 一方で、こうした宗教的要素をより貪欲に飲み込みまったく独自世界観を作り上げている作品もあり、『聖☆おにいさん』にはない凄みすら感じることがあります。切り絵を背景の上で動かす劇メーションという手法を用いた宇G茶(うじちゃ)監督の『燃える仏像人間』は、人間と仏像が融合した仏像人間が跋扈する唯一無二の異様な世界を創り上げています。

 『聖☆おにいさん』を読んで宗教的要素を取り入れた作品に面白さを感じた方は、ぜひ『燃える仏像人間』のような宗教的要素を完全に飲み込んで自らのものとしてしまった作品も触れていただければと思います。

松下 弓月

福生山宝善院副住職
超宗派仏教徒によるインターネット寺院 彼岸寺 僧侶

写真:入交佐紀

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC) [amazon]

(Newsphere編集部)

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