なぜ今? フランス大手紙が『あまちゃん』ブームに注目

 仏ル・モンド紙が、「“あまちゃん”に魅了された日本」という見出しで、日本の『あまちゃん』ブームを取り上げた。

 記事では、流行語となった「じぇじぇじぇ(Jejeje)」を「驚きや喜びを表す時のオノマトペ(擬声語)」と紹介し、同作の背景やあらすじなどを解説。関連グッズの売上げや、ロケ地となった岩手県久慈市への観光客増加など、『あまちゃん』が32.8億円の経済波及効果をもたらしたことを報じた。

【女性だけでなく中年男性を取り込んだことがポイント?】
『あまちゃん』は、1961年から続く「日本伝統のドラマ枠」であるNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)。朝ドラは1980年代に大きく成功し、1983年に放映された『おしん』は60%の視聴率に達した。

 同紙は、朝ドラのターゲットは女性だが、『あまちゃん』は小泉今日子のような1980年代のスターを起用し、中年男性も取り込んだと、日経ビジネスの記事を引用して紹介。成功の背景をフランス人読者へひも解いた。

【フランス人からの人気も高い?】
 日本のドラマをテーマにしたフランスのサイトでも、『あまちゃん』の人気は高い。

「海女のことは何も知らないけど、とても興味深い」
「アキ(編注:主人公の少女)を見ていると元気になる! 」
「大河ドラマは見たことあるけど朝ドラは見たこと無かった」
「一話の時間がとても短いね。でもスケジュールの合間に見られていい」
「ゴーストバスターズ! (編注:同作で杉本哲太演じる大向大吉が言うセリフ)」

【『あまちゃん』報道、フランスの日本への関心の高さを表す】
 NHKは朝ドラの海外展開に積極的だ。最近では『梅ちゃん先生』『カーネーション』『おひさま』『てっぱん』が台湾やマレーシアなど4つの国と地域で、『ゲゲゲの女房』が台湾やタイなど3つの国と地域で放送された。

『あまちゃん』も日本での放映終了後、11月に台湾のケーブルテレビ局「ビデオランド社」から、来年2月にはタイの衛星・ケーブルテレビ局「トゥルービジョンズ」から放送される予定だ。

 ただ、海外といってもその広がりはアジアに限られている。地理的にも遠く文化や習慣が大きく異なる欧州では、NHKの朝ドラが現地で注目を集めることはまずない。その中でル・モンド紙が、他の欧州主要メディアに先駆けて『あまちゃん』ブームを総括したことは、フランスが欧州でより日本に関心の高い国の一つである表れともいえる。

Text by NewSphere 編集部