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AIIBでサブプライム危機再来? 融資過当競争による世界金融危機、米識者懸念

  • カテゴリー:経済
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AIIBでサブプライム危機再来? 融資過当競争による世界金融危機、米識者懸念

 米政府は、中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対して、疑いの姿勢を崩さない。同盟国に不参加を呼びかけたが、多くの国が雪崩を打った。元米財務長官のローレンス・サマーズ氏は、最近の論評で「このひと月は、アメリカが、世界の経済システムの保証人としての役割を失った時として記憶されるかもしれない」と語り、政権の姿勢を批判した。米政府はなぜ参加に反対しているのか、AIIBにはどのような懸念が存在するのか、それを知る手がかりとして、識者の語るところを見てみよう。

◆アメリカの懸念を無視した参加国へのメッセージ?
 かつて、アジア開発銀行(ADB)で米国代表理事を務めたカーティス・チン氏は、フォーチュン誌で、自らの経験を踏まえ、AIIBが今後備えるべき要件について論じている。

 氏によれば、米政府は、各国に、AIIBへの参加を控えるよう呼びかけていたが、40以上の国がこれを無視した。今後、アメリカと日本は、面目を守って、(参加はせずに)AIIBと協力することを求めるだろう。それは全関係者にとって良いことだろうが、AIIBが成功するためには、各国の指導者らは、いくつかの提案を心にとどめておくべきである。

◆チン氏の主張内容:住民と環境への配慮、ガバナンスの確立
 ADBの理事職にあったとき、氏は、事業視察の際に、水力発電所、道路網といった大規模なインフラ事業によって、地域住民が強制移住させられ、農業、漁業といった伝統的な生計の道を断たれる事例を目にしたチン氏は次のように主張している。

AIIBは(その名のとおり)インフラ開発に主眼を置いているが、インフラ投資のせいで、何千という人々が、意図的にではないが貧困に追いやられたり、周囲の環境にダメージが出たりしないようにする運営方針と正式な手続きを整えることが重要である。

 そのためには、社会面および環境面で、しっかりとした予防措置が必要で、影響を受ける地域からの意見と助言を、計画立案の最初期段階から、きちんと盛り込むようにすべきだ。さもなければ、計画のまずい事業が、社会面、環境面で害を及ぼしたり、借り手の予算超過を招いて、ついには社会不安を招いたり、事業そのものが遅延したり中止になったりする一因になる可能性がある。

 また同氏は、投資の評価・組織の監査を行う独立した機関の必要性を訴える。

AIIBには今後、全ての出資者が支持するような、強力で効果的な説明責任の新たなメカニズムを持つようになる見込みがある。どこか単一の出資国に借りを感じることのない、強力な独立評価部門が、そのメカニズムの一環として存在しなければならない。また、AIIB自身が規則を順守しているかをチェックするメカニズムも、決定的に重要である。

 少なくとも現時点では、AIIBではこれらのことがまだ確立されていないとも言え、チン氏は、アメリカはAIIBへの関与を強めるべきだとしている。

◆サブプライムローン時のような融資の過当競争が世界的に始まる?
 次に、ロイターBREAKINGVIEWSのコラムニスト、ロブ・コックス氏は、AIIBを含め、新たな国際金融機関の登場により、融資の過当競争が始まってしまうことを警戒している。氏の念頭にあるのは、かつてアメリカを襲い、世界金融危機の引き金になったサブプライムローン問題だ。当時、住宅バブルを背景に、金融機関は、信用力の低い顧客にも積極的に資金を融資した。しかしそれはやがて破綻した。

 それと同様のことが、世界レベルでも起きてしまうのではないか、というのが氏の懸念だ。(数の増えた)国際機関が融資を競い合うと、民間機関が弱体化する、借り手の統治が悪くてもそれを支えてしまう、潜在的に貧富の格差を拡大する、という危険があるという。堕落した専制的な指導者の率いる貧困国が、可能な限り最も条件や契約条項の少ない、国民への目に見える利益はほとんどないような最良の財政取引を得るために、アジアの新機関を、世界銀行やIMFと競わせる状況は想像に難くない、と氏は語る。

 AIIBなどの登場を待たなくても、すでに世界銀行やIMFにも、融資対象国の放漫な政権運営を助長してしまっている、との批判があるという。

 氏は、融資の過当競争を防ぐため、最低でも新たな規則と融資のガイドラインが必要になる、と語っている。

◆アメリカは影響力の低下を恐れるが、多極化した世界の現実を見るべき
 米ニュース論評サイトのワールド・ポリティクス・レビューでは、米海軍大学校で国家安全保障研究の教授を務めるNikolas K. Gvosdev氏が、アメリカは衰退を防ぐために、多極化した世界という現実を受け入れる必要がある、と論じている。その中で、アメリカの影響力低下の例として、AIIBに参加しないよう各国に呼びかけたが、失敗したことを挙げている。

 世界銀行、IMF、ADFであれば、相手国に融資するかわりに、欧米諸国が、政治的、経済的条件を課すことができる。しかしAIIBが登場すれば、それらに替わる資金源となり、欧米の影響力はスルーされてしまう。それゆえオバマ政権は、同盟国が参加を控えるのを熱望していた、と氏は説明する。

 これまでと異なり、各国は、ドクターショッピングのように、国際金融機関のショッピングができるようになる。もしアメリカが、IMFと世界銀行の融資の対価として、煩わしい条件と見られるものを相手国に課すのであれば、その国は中国の対案を選ばないということがあるだろうか、と氏は語る。

 AIIBの出来事が示しているのは、多くの国が、中国政府か米政府かを決定的に選ぶことを好まないということだという。

 米政府は今後、効果的な外交政策を実施するために、「多極的な考え方」を再発見する必要がある。それは、歩み寄りと平和的な競争という現実を受け入れたものだ、と氏は語る。しかし、状況を見るに、アメリカは引き続き後手に回りそうだ、としている。

(Newsphere編集部)

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